大型研究費・1,000万円超の助成金一覧
年額1,000万円以上の大型研究費・助成金を網羅。JST CREST、ムーンショット、AMED-CREST、K Program、SIP、NEDOプロジェクト等を掲載。締切日・助成額・応募要件を比較検索できます。
「大型研究費」とは、1件あたり年額1,000万円以上の研究費を指す慣例的な呼称です。本ページでは、科学研究費助成事業(科研費)の基盤研究(S)・特別推進研究、JST の CREST・ムーンショット、AMED の CREST・LEAP、内閣府の SIP・K Program、経済産業省・NEDO の国家プロジェクトなど、大学・研究機関が応募できる大型競争的資金を掲載しています。
チーム型(CREST、ムーンショット、SIP 等)では年間数千万〜数億円、個人型(基盤S、特別推進、さきがけ等)でも5,000万〜2億円規模となり、審査通過には「研究構想の国際的意義」「実施体制の必然性」「過去の競争的資金獲得実績」の三点が揃っていることが求められます。研究費とは|完全解説で研究費全体の位置付けを確認した上で、本ページで個別公募の最新情報をご確認ください。
目次
1. 大型研究費の全体像
日本の競争的研究費のうち、1件あたり年額1,000万円以上の「大型」と呼ばれる枠は、大きく個人型とチーム型に分かれます。個人型は研究代表者1名が主体となり、チーム型は研究代表者(PI)+複数の主たる共同研究者(研究分担者)で構成されます。所管官庁・資金配分機関(FA)別に主要なプログラムを整理すると以下の通りです。
| 所管 | 代表的プログラム | 形態 | 規模の目安 |
|---|---|---|---|
| 文部科学省 / JSPS | 特別推進研究、基盤研究(S)、学術変革領域研究 | 個人/領域 | 5,000万〜5億円 |
| JST | CREST、さきがけ、ムーンショット、FOREST、ASPIRE | 個人/チーム | 3,000万〜数十億円 |
| AMED | AMED-CREST、LEAP、革新的医療技術研究開発推進事業 | チーム | 年5,000万〜30億円 |
| 内閣府 | SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、K Program(経済安全保障重要技術育成)、宇宙戦略基金 | チーム | 数億〜数百億円 |
| 経産省 / NEDO | GI基金、ポスト5G、省エネ社会実装促進、半導体製造技術 | チーム(産学連携) | 数千万〜数十億円 |
| 防衛装備庁 | 安全保障技術研究推進制度(タイプS/A/C) | 個人/チーム | 1,300万〜20億円 |
大型研究費は「個人型→チーム型→ミッション型」の順に規模が大きくなり、審査で問われる水準も高くなります。個人型では研究構想の独創性と PI の研究遂行能力が中心ですが、チーム型では分担者の必然性ある組合せと役割分担、ミッション型(SIP・GI基金等)では国家戦略との整合性と社会実装計画が重視されます。
2. JST CREST / さきがけ / ムーンショット / FOREST
JST(科学技術振興機構)の戦略的創造研究推進事業は、日本の研究力強化の中核を担うプログラム群です。研究領域ごとに「研究総括」が設置され、領域内で複数の研究課題を選定します(JST 戦略的創造研究推進事業公募情報)。
| 種目 | 形態 | 助成額(直接経費) | 期間 |
|---|---|---|---|
| CREST | チーム型 | 1.5億〜5億円 | 5年半 |
| さきがけ | 個人型 | 3,000万〜4,000万円 | 3〜5年 |
| ERATO | チーム型(研究総括集中型) | 約12億円/5年 | 5年 |
| ムーンショット型研究開発事業 | プロジェクト型 | 数十億円/プロジェクト | 最長10年 |
| FOREST(創発的研究支援事業) | 個人型 | 総額5,000万円(原則700万円/年) | 7年 |
| ASPIRE(先端国際共同研究推進事業) | チーム型(国際連携) | Top: 最大5億円、次世代: 最大9,000万円 | 3〜5.3年 |
CREST は5年半のチーム型大型研究で、新技術の創出を通じて社会経済への波及効果が期待される研究を支援します。さきがけは個人研究者を対象とし、独創性の高い挑戦的研究を支援します。ムーンショット型研究開発事業では「ステージゲート方式」が採用され、段階ごとに継続・縮小・中止が判断される点が特徴です。
詳細な申請準備は JSTさきがけ・CREST応募の書き方ガイド を参照してください。
3. AMED 統合事業(LEAP / AMED-CREST / PRIME 等)
AMED(日本医療研究開発機構)は医療分野の研究開発を一元的に推進する FA です。JST の CREST・さきがけに対応する医療分野版として、AMED-CREST・PRIME・LEAPが設けられています(AMED 公募情報)。
| 種目 | 形態 | 助成額 | 期間 |
|---|---|---|---|
| LEAP(革新的先端研究開発支援事業 インキュベートタイプ) | 個人型 | 年5,000万円程度 | 最長10年 |
| AMED-CREST | チーム型 | 年5,000万〜1億円 | 5年 |
| PRIME | 個人型(若手) | 年2,000万〜3,000万円 | 3〜5年 |
| 次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(アンドラッガブル標的創薬) | チーム型 | 年1億〜2.5億円 | 複数年 |
| がん領域 難治性がん克服フラッグシッププログラム | チーム型 | 年最大3,900万円 | 複数年 |
| 革新的医療技術研究開発推進事業(難病・希少疾病治療グローバル研究開発支援事業) | チーム型(国際共同治験) | 最大30億円(50%補助) | 複数年 |
AMED の公募は大半が e-Rad を通じた電子申請で、所属機関の事務局経由で提出します。間接経費は原則30%が上乗せされます。臨床研究・治験を伴う課題では、倫理審査委員会の承認取得が必須で、準備期間を考慮した応募計画が必要です。
全体像は AMED公募プログラム完全ガイド も参照してください。
4. 内閣府 SIP / K Program / 宇宙戦略基金
内閣府は国家戦略に直結するミッション型の大型研究開発を推進しています。出口志向が強く、社会実装計画の具体性が審査上重視される点が特徴です。
- SIP(戦略的イノベーション創造プログラム): 府省横断のテーマを設定し、基礎研究から社会実装までを一気通貫で支援。第3期は2023年度から14課題が始動しており、課題ごとに年数億〜数十億円規模の予算が配分されます(内閣府 SIP 公式)。
- K Program(経済安全保障重要技術育成プログラム): 経済安全保障上重要な先端技術の研究開発を支援。AI・量子・バイオ・サイバー等の領域で中長期のビジョンを描く課題を採択(内閣府 K Program 公式)。
- 宇宙戦略基金: 2023年度創設。10年間で総額1兆円規模の基金を造成し、JAXA を配分機関として輸送・衛星・探査・分野共通の4分野でテーマごとに公募。1テーマあたり数億〜数百億円規模(JAXA 宇宙戦略基金)。
これらはいずれも「プログラムディレクター(PD)」や「プログラムマネージャー(PM)」が中長期的にプロジェクトを統括し、ステージゲート審査で継続可否が判断されます。応募段階では、技術ロードマップと成果指標(KPI)の設定が採択の鍵となります。
5. NEDO 大型事業(GI基金・ポスト5G・省エネ)
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は経済産業省所管で、産業技術・エネルギー分野の研究開発を支援します。大学単独で応募できる「先導研究」もありますが、大型事業は原則として企業との共同提案(産学連携)が前提です。
| 事業 | 形態 | 規模 | 補助率/負担 |
|---|---|---|---|
| グリーンイノベーション(GI)基金 | 産学連携 | 1件数億〜数十億円 | 2/3〜9/10 等(段階に応じて変動) |
| ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(半導体・量子) | 産学連携 | 1件30億〜160億円 | 1/2〜2/3 補助 or 100% 委託 |
| 脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム | 段階型 | FS 最大1,000万円/年 〜 実証開発 最大10億円/年 | 事業段階に応じて変動 |
| 二国間クレジット制度(JCM)関連事業 | 国際連携 | 1件あたり数千万〜10億円 | 委託/補助 |
| 安全保障技術研究推進制度(防衛装備庁) | 個人/チーム | タイプS: 最大20億円/5年、タイプA: 最大5,200万円/年 | 委託(100%) |
NEDO の事業は「委託事業(100% NEDO負担)」と「補助事業(補助率あり、自己負担発生)」の2形態があります。大学研究者は、企業が代表となる補助事業の分担機関として参画するケースが多くなります。プロジェクトマネージャー(PM)との密な連携、四半期ごとの進捗報告、知財の NEDO ルールに基づく管理が求められます。
NEDO の全体像は NEDO公募プログラム完全ガイド も参照してください。
6. 申請書の書き方|大型研究費に特有のポイント
大型研究費は申請書のページ数も多く(CREST で A4 30ページ超、ムーンショットで A4 50ページ超など)、単に研究内容を詰め込むだけでは審査を通過しません。特に以下の点が個人型・小規模の研究費とは異なります。
- 構想のビジョン性: 「なぜ今この研究が必要か」「成功した場合にどのような社会変革が起きるか」を冒頭で明示。5〜10年先の到達点を具体的に描く。
- 実施体制の必然性: 研究分担者の組合せが「この人たちでなければならない」理由を説明。過去の共著・共同特許・共通研究基盤を具体的に記載。単に著名な研究者を並べただけの体制は減点対象。
- 段階的な研究計画(マイルストーン): 5年間を2〜3段階に分け、各段階で達成する定量目標(KPI)を設定。中間評価の判断材料となる。
- リスクと代替案: 計画通りに進まない場合の代替シナリオを明記。挑戦的な課題ほどリスクを直視した記述が評価される。
- 波及効果・出口戦略: 学術的波及(論文・引用・後続研究)、産業的波及(特許・ライセンス・起業)、社会的波及(政策・教育)の三面で記載。
- 若手育成計画: チーム内でのポスドク・大学院生の育成方針。国プロ級の申請では人材育成が明示的な審査項目となる。
また、大型研究費では間接経費30%が直接経費と別枠で研究機関に支払われます。直接経費3,000万円/年の公募なら、機関には別途900万円/年が渡ります。この扱いについては応募前に機関の研究支援課(URA)と調整してください。科研費の大型種目については 科研費 基盤研究 種目別攻略ガイド を参照してください。