JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の戦略的創造研究推進事業は、国が定めた戦略目標の下で挑戦的な基礎研究を支援する競争的資金です。個人型のさきがけ(PRESTO)、チーム型のCREST、若手・大学院生向けのACT-X、総括実施型のERATOで構成されます。
本記事では、各プログラムの制度概要、2026年度の公募スケジュールと募集領域、採択率の実績、研究提案書の書き方、面接選考の対策を、JSTの公式資料に基づいて整理します。本文の数値は記事末尾の出典一覧に対応しています。
この記事の要点
- 2026年度の募集は4月7日に開始され、さきがけ・ACT-Xは5月26日正午、CRESTは6月2日正午に締切済み。選定課題の発表は9月下旬の予定
- 採択率(2025年度実績)はさきがけ約9.7%、CREST約7.3%、ACT-X約14.8%
- さきがけは3年6ヶ月以内・総額3,000万〜4,000万円程度、CRESTは5年6ヶ月以内・総額1.5億〜5億円程度
- ACT-Xは大学院生を含む若手が対象で、総額450万〜600万円程度・2年6ヶ月以内
- 数値の出典は末尾の出典一覧を参照
1. JSTの戦略的創造研究推進事業とは
戦略的創造研究推進事業は、文部科学省が設定する戦略目標の下に、JSTが研究領域と研究領域の責任者である研究総括(プログラムオフィサー)を定め、研究領域ごとに研究提案を募集する事業です。科研費がボトムアップ型(研究者が自由にテーマを設定)であるのに対し、JST事業はトップダウン型(国の戦略目標に沿った研究領域が設定される)という特徴があります。
1-1. 4つの主要プログラム
| プログラム | 研究形態 | 研究期間 | 研究費規模 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
| さきがけ(PRESTO) | 個人型 | 3年6ヶ月以内 | 総額3,000万〜4,000万円程度/課題 | 個人研究者 |
| CREST | チーム型 | 5年6ヶ月以内 | 総額1.5億〜5億円程度/チーム | 研究代表者とチーム |
| ACT-X | 個人型 | 2年6ヶ月以内 | 総額450万〜600万円程度/課題 | 若手研究者・大学院生 |
| ERATO | 総括実施型 | 原則5年半以内 | 総額上限12億円(直接経費) | 研究総括候補(推薦) |
出典: 科学技術振興機構「さきがけ プログラムの概要」、「CREST プログラムの概要」、「ACT-X プログラムの概要」、「ERATO プログラムの概要」(いずれも2026年7月3日参照)。
いずれのプログラムでも、研究総括が各研究領域を統括し、領域アドバイザー等の協力を得て書類選考・面接選考により採択課題を決定し、研究期間中のマネジメントまでを担います。研究総括の方針や求める研究像を理解することが、採択への重要な鍵となります。
1-2. 科研費との違い
| JST事業(さきがけ・CREST等) | 科研費 | |
|---|---|---|
| 研究テーマ | 国の戦略目標に基づく研究領域から選択 | 研究者が自由に設定 |
| 審査方式 | 書類選考+面接選考(2段階) | 書類審査中心(一部種目を除く) |
| マネジメント | 研究総括による積極的なマネジメント | 研究者の自主性に委ねる |
| ネットワーク | 領域会議等で異分野研究者と交流 | 個別の研究活動が中心 |
| 研究費規模 | 比較的大型(さきがけで総額3,000万円程度から) | 種目により大きく異なる |
出典: 科学技術振興機構「CREST・さきがけ・ACT-X研究提案募集」(2026年7月3日参照)に基づき当サイトで整理。
2. さきがけ(PRESTO): 個人型の挑戦的研究
さきがけの基本情報
- 正式名称: 戦略的創造研究推進事業(さきがけ)/ PRESTO
- 研究期間: 3年6ヶ月以内
- 研究費: 総額3,000万〜4,000万円程度/課題
- 採択実績: 2025年度は15領域で168件採択(応募1,734件・採択率約9.7%)
- 申請システム: e-Rad
2-1. さきがけの特徴
さきがけは、研究者が個人として独立した研究を行うプログラムです。科研費の若手研究や基盤研究とは異なり、以下の特徴があります。
- 所属機関に在籍したまま実施: 原則として所属機関に在籍したまま研究を実施し、JSTが所属機関と委託研究契約を締結する。採択時に所属機関がない場合等は、JSTが必要性を審査した上で「さきがけ専任研究者」としてJSTが雇用する制度がある
- 研究総括によるマネジメント: 研究総括が研究計画(研究費計画を含む)の調整・承認や、研究課題の評価を行う
- 領域会議・ネットワーク形成: 原則年1〜2回の領域会議(合宿形式の場合もある)で、同じ領域の異分野研究者と研究の進捗を発表・議論する
- 研究実施場所の訪問等による助言: 研究総括や領域アドバイザーが研究実施場所の訪問やその他の意見交換等の機会を通じて助言・指導を行う
2-2. 対象者・応募資格
2026年度募集要項では、さきがけの個人研究者の要件として以下が挙げられています。
- 提案者本人が個人研究者となること。自らが研究構想の発案者であり、その構想を実現するために自立して研究を推進する研究者であること
- 企業等に所属する研究者も、個人型研究を十分に遂行できる場合は対象となる
- 日本国籍を持つ研究者、もしくは日本国内で研究を実施する外国籍の研究者であること
- 全研究期間を通じ、自身の研究課題を責任をもって遂行できること
- ACT-X研究の実施中でも応募は可能(さきがけに採択された場合、ACT-X研究は採択年度末で早期終了)
※応募要件に年齢の規定はありません。大学院生を含む若手研究者は、対象として明示されているACT-Xもご検討ください。
2-3. 研究領域の選び方
さきがけでは、2026年度は15領域で研究提案が募集されました。自分の研究テーマに合った領域を選ぶことが採択の大前提です。
2-4. 採択率・採択傾向
| 年度 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 1,636件 | 175件 | 約10.7% |
| 2025年度 | 1,734件 | 168件 | 約9.7% |
出典: 科学技術振興機構 機構報 第1714号「戦略的創造研究推進事業における2024年度新規研究課題の決定について」、機構報 第1793号「戦略的創造研究推進事業における2025年度新規研究課題の決定について」(いずれも2026年7月3日参照)。
領域別に見ると、採択率には大きな幅があります。JST公表の2025年度領域別データでは、最も応募が多かった領域(応募316件・採択16件、約5.1%)から、採択率が最も高かった領域(応募47件・採択9件、約19.1%)まで開きがありました。「量子物質」領域は応募95件・採択10件(約10.5%)です。
3. CREST: チーム型の大型研究
CRESTの基本情報
- 正式名称: 戦略的創造研究推進事業(CREST)
- 研究期間: 5年6ヶ月以内
- 研究費: 総額1.5億〜5億円程度/チーム
- 採択実績: 2025年度は12領域で60件採択(応募826件・採択率約7.3%)
- 申請システム: e-Rad
3-1. CRESTの特徴
CRESTは、研究代表者が率いるチーム型の研究を支援するプログラムです。総額1.5億〜5億円程度の研究費を得て、複数の研究機関にまたがるチームで大型の共同研究を行うことができます。
- 研究代表者が研究チーム全体を統括し、責任を持つ
- 主たる共同研究者(共同研究グループのリーダー)を含むチーム構成が可能
- 選考基準では「提案内容の遂行に最適な実施体制を構築していること」が求められる(2026年度募集要項)
- 若手研究者の参画とキャリアパス支援が重視され、面接選考会等で確認される
- 研究総括のマネジメントの下、領域会議で他チームとも交流する
3-2. さきがけとの違い
| さきがけ | CREST | |
|---|---|---|
| 研究形態 | 個人型(1人の研究者) | チーム型(複数研究者) |
| 研究費 | 総額3,000万〜4,000万円程度 | 総額1.5億〜5億円程度 |
| 研究期間 | 3年6ヶ月以内 | 5年6ヶ月以内 |
| 求められるもの | 個人の独創的なアイデア | チームとしての研究戦略と実施体制 |
| 採択率(2025年度) | 約9.7% | 約7.3% |
出典: 科学技術振興機構「さきがけ プログラムの概要」、「CREST プログラムの概要」、機構報 第1793号「2025年度新規研究課題の決定について」(いずれも2026年7月3日参照)。
3-3. 研究代表者・主たる共同研究者に求められること
2026年度募集要項の共通選考基準では、研究提案者に「提案内容の遂行に必要な活動実績及び責任能力を有していること」が求められ、CRESTではさらに「提案内容の遂行に最適な実施体制を構築していること」が選考基準に含まれます。チーム構成においては、なぜそのメンバーが必要かを明確に説明できることが重要です。
3-4. 提案書で問われる内容
CRESTの研究提案書の様式・記載項目は、募集要項および各研究領域の公募情報(e-Rad掲載)で指定されます。一般に、研究構想(背景・目的・独創性・計画の全体像)、実施体制(チーム構成と各メンバーの役割)、目標と実施計画・予算計画、研究代表者の活動実績などの説明が中心になります。必ず最新の募集要項で様式を確認してください。
3-5. 採択率データ
| 年度 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 574件 | 50件 | 約8.7% |
| 2025年度 | 826件 | 60件 | 約7.3% |
出典: 科学技術振興機構 機構報 第1714号「2024年度新規研究課題の決定について」、機構報 第1793号「2025年度新規研究課題の決定について」(いずれも2026年7月3日参照)。
2025年度のCRESTの領域別採択率は、約4.6%(応募108件・採択5件)から約17.9%(応募28件・採択5件)まで幅がありました。
4. ACT-X: 若手・博士課程学生向け
ACT-Xの基本情報
- 研究期間: 2年6ヶ月以内
- 研究費: 総額450万〜600万円程度/課題
- 加速フェーズ: さらなる飛躍が期待される課題に1年間の追加支援(最大1,000万円)
- 採択実績: 2025年度は5領域で110件採択(応募745件・採択率約14.8%)
- 対象: 博士号取得後8年未満(博士号未取得の場合は学士号取得後13年未満、いずれも産休・育休期間は除算)。大学院生も応募可能
4-1. ACT-Xの特徴
ACT-Xは、独創的で挑戦的なアイデアを持つ若手研究者の発掘・育成を目的としたプログラムです。さきがけよりも研究費は小さいものの、以下の特徴があります。
- 大学院生を含む若手研究者が応募可能(さきがけとの大きな違い)
- 研究成果が優れた課題には「加速フェーズ」として1年間・最大1,000万円の追加支援
- さきがけと同様に、領域会議での異分野交流や研究総括・領域アドバイザーによる助言を受けられる
- ACT-X実施中にさきがけ等へ応募することも可能(採択時はACT-Xを早期終了する等の調整がある)
4-2. さきがけとの違い
| ACT-X | さきがけ | |
|---|---|---|
| 対象者 | 博士号取得後8年未満等の若手・大学院生 | 自立して研究を推進する個人研究者 |
| 研究費 | 総額450万〜600万円程度 | 総額3,000万〜4,000万円程度 |
| 研究期間 | 2年6ヶ月以内 | 3年6ヶ月以内 |
| 採択率(2025年度) | 約14.8% | 約9.7% |
| 位置づけ | 若手育成・キャリア初期 | 独立した研究者の挑戦 |
出典: 科学技術振興機構「ACT-X プログラムの概要」、機構報 第1793号「2025年度新規研究課題の決定について」(いずれも2026年7月3日参照)。
4-3. 採択率データ
| 年度 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 629件 | 103件 | 約16.4% |
| 2025年度 | 745件 | 110件 | 約14.8% |
出典: 科学技術振興機構 機構報 第1714号「2024年度新規研究課題の決定について」、機構報 第1793号「2025年度新規研究課題の決定について」(いずれも2026年7月3日参照)。
2025年度のACT-Xの領域別採択率は、約7.6%(応募263件・採択20件)から約31.7%(応募63件・採択20件)まで、さきがけ・CREST以上に大きな幅がありました。
4-4. 2026年度の研究領域
2026年度のACT-Xでは以下の4領域で募集が行われました(領域名はJST掲載の略称)。
- GXマテリアル(2026年度新規)
- 生体機能
- 生命と情報
- サイバーインフラ
出典: 科学技術振興機構「提案を募集する研究領域」(2026年7月3日参照)。
5. ERATO: 研究総括主導型の大規模研究
ERATOの基本情報
- 正式名称: 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)
- 研究期間: 原則5年半以内(第6年次の年度末まで実施可能)
- 研究費: 1プロジェクトあたり総額上限12億円(直接経費、通期)
- 選定方式: 研究総括候補・研究テーマの推薦を受け付ける方式(他薦・自薦は問わない)
- 推薦公募: 通年で受付(選考の都合上、年度ごとに締切を設定)
5-1. ERATOの特徴
ERATOは、1981年に発足した創造科学技術推進事業を前身とする歴史あるプログラムです。他のプログラムとは根本的に異なる特徴があります。
- 研究者が直接応募するのではなく、推薦方式: 研究総括候補と研究テーマの推薦を通年で受け付けており、他薦・自薦は問わない
- 研究総括がプロジェクト全体を主導: 採択された研究総括は、研究計画の立案から研究グループの指導・管理までを自ら行う
- 学際的なチーム編成: 研究総括がさまざまな分野から研究者を集め、学際研究を推進する
5-2. ERATOと他のプログラムの位置づけ
ERATOは規模・選定方式ともに特殊なプログラムです。研究者個人が公募に直接応募するプログラムとしてはさきがけ・CREST・ACT-Xが基本であり、ERATOは卓越した研究業績と構想力を持つ研究者が推薦を経て挑む位置づけと言えます。
6. 2026年度の公募スケジュールと研究領域
6-1. 2026年度のスケジュール
2026年度のCREST・さきがけ・ACT-X研究提案募集は、2026年4月7日に開始され、以下の日程で進行しています。
| 時期 | イベント |
|---|---|
| 2026年4月7日 | 研究提案募集の開始 |
| 2026年5月26日 正午 | さきがけ・ACT-X 応募締切(さきがけ「エクスポソーム」領域を除く) |
| 2026年6月2日 正午 | CREST・さきがけ「エクスポソーム」領域 応募締切 |
| 6月上旬〜7月下旬 | 書類選考 |
| 7月上旬〜7月下旬 | 書類選考結果の通知 |
| 7月中旬〜8月上旬 | 面接選考(オンラインで実施予定) |
| 9月下旬 | 選定課題の通知・発表 |
| 10月以降 | 研究開始 |
出典: 科学技術振興機構「CREST・さきがけ・ACT-X研究提案募集」および「2026年度 募集要項」(いずれも2026年7月3日参照)。
6-2. 2026年度の募集研究領域
2026年度は、CREST 12領域、さきがけ15領域、ACT-X 4領域で研究提案が募集されました。領域名はJST「提案を募集する研究領域」ページに掲載の略称です。
| # | 研究領域(略称) | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 量子未踏 | 2026年度新規 |
| 2 | 超寿命マテリアル | 2026年度新規 |
| 3 | 革新的デジタル時空間拡張 | 2026年度新規 |
| 4 | 感覚をつなぐ | 2026年度新規 |
| 5 | ゆらぎ材料 | |
| 6 | 実環境知能システム | |
| 7 | 共生AI学際システム | |
| 8 | 超生体組織 | |
| 9 | 予測数学基盤 | |
| 10 | 光融合 | |
| 11 | 材料創製と循環 | |
| 12 | 生命力 |
出典: 科学技術振興機構「提案を募集する研究領域」(2026年7月3日参照)。
| # | 研究領域(略称) | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 量子未踏領域への挑戦 | 2026年度新規 |
| 2 | 超寿命マテリアル | 2026年度新規 |
| 3 | デジタル時空間拡張基盤 | 2026年度新規 |
| 4 | 外界刺激感知 | 2026年度新規 |
| 5 | エクスポソーム | 2026年度新規(締切のみ6月2日) |
| 6 | 量子物質 | |
| 7 | ゆらぎ材料 | |
| 8 | 実世界知能基盤 | |
| 9 | 共生AI基盤 | |
| 10 | 超生体組織 | |
| 11 | 研究開発プロセス革新 | |
| 12 | 未来数理科学 | |
| 13 | 光融合 | |
| 14 | 材料の創製・循環 | |
| 15 | 生命力の二面性 |
出典: 科学技術振興機構「提案を募集する研究領域」(2026年7月3日参照)。ACT-Xの4領域は4-4を参照。
7. 研究提案書(申請書)の書き方
さきがけ・CREST・ACT-Xの応募で提出する書類は「研究提案書」と呼ばれます(一般に言う申請書にあたります)。採択率は前述の通り10%前後の水準のため、限られた紙面で審査側に研究の核心を伝えることが重要です。記入様式は年度・プログラムごとに募集要項で指定されるため、必ず最新版を確認してください。以下は一般的な書き方の指針です。
7-1. 研究構想の筋道を明確にする
- 「何を」「なぜ」「どうやって」を冒頭で明示する: 審査側は多数の提案を読む。最初の1ページで研究の核心が伝わる構成にする
- 背景、課題、仮説、アプローチ、期待される成果の流れを論理的に構成する
- 「これまでの研究の延長」ではなく「新しい挑戦」を示す: 選考基準では国内外の動向等を踏まえた独創性・優位性が問われる
7-2. 研究領域との整合性を示す
- 共通選考基準の第一は「目的・趣旨」: 事業および研究領域の趣旨に合致し、研究領域が目指す成果の創出が期待されることが求められる。領域の趣旨文を読み、「この領域でなければならない理由」を明確にする
- 研究総括の方針を確認する: 各領域の「募集・選考・研究領域運営にあたっての研究総括の方針」に、領域独自の選考の観点が記載されている
- 領域全体の課題構成も採択の観点になる: 募集要項には、研究領域として求める課題構成に合致するかも採択の観点の一つと明記されている
7-3. 具体的な研究計画を示す
- 目標・計画の具体性は選考基準そのもの: 実施期間内に達成する目標、実施計画および予算計画が具体的かつ適切であることが共通選考基準に含まれる
- 予備データ・実現可能性を示す: 提案の実現性を裏付ける予備的な結果があれば盛り込む
- リスクと対策を書く: 挑戦的な研究ほど失敗の可能性がある。リスクを認識し、代替案を用意していることを示す
7-4. さきがけ・ACT-Xで意識したいポイント
7-5. CRESTで意識したいポイント
8. 面接選考の対策と結果通知の時期
さきがけ・CREST・ACT-Xでは、書類選考を通過した提案者が面接選考に臨みます。面接選考は採択の最終関門であり、準備が必要です。
8-1. 面接選考の流れ(2026年度募集要項より)
- 連絡時期: 面接選考の対象となった提案者には、書類選考会後1週間以内に電子メールで通知され、面接選考の要領・日程・追加提出資料が案内される(e-Rad登録のメールアドレス宛)
- 面接の内容: 研究提案者本人が研究構想を説明する。原則は日本語で、日本語での実施が困難な場合は英語でも可能
- 実施方式: 2026年度の面接選考は7月中旬〜8月上旬にオンラインで実施予定
- 追加資料: 面接選考に際し、他の研究資金での申請書・計画書等の提出を求められる場合がある
- 時間配分等の詳細: プレゼンテーションや質疑の時間は、面接選考の案内で領域ごとに個別に示される
8-2. 発表準備の指針
- 冒頭で研究の全体像を伝える: 「何を、なぜ、どうやって」を最初に明確にする
- 図やグラフを効果的に使う: 文字だらけの資料は避け、視覚的に分かりやすくする
- 予備データを見せる: 実現可能性を示す結果があれば資料に含める
- 時間厳守: 指定された時間内に収まるよう、必ず事前に練習する
8-3. 質疑応答で聞かれやすい質問
8-4. 選考結果の通知時期
「結果はいつ来るのか」は応募後に最も気になる点です。2026年度募集要項では、通知の時期が次のように示されています。
- 書類選考の結果: 7月上旬〜7月下旬に通知。面接対象者には書類選考会後1週間以内に連絡
- 書類選考での不採択: 選考会後5営業日を目途にe-Radを通じて通知
- 採択の見込み連絡: 面接選考の結果、採択となる可能性が高い提案者には9月上旬までにJSTから連絡
- 面接選考での不採択: 9月中旬を目途にe-Radを通じて通知。不採択理由は9月中旬以降に通知
- 選定課題の通知・発表: 9月下旬
9. 共通の選考基準と採択のポイント
9-1. 共通の選考基準(2026年度募集要項)
2026年度募集要項には、CREST・さきがけ・ACT-Xの各研究領域に共通の選考基準として以下が示されています(該当する全ての項目を満たす必要があります)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的・趣旨 | 事業および研究領域の趣旨に合致し、研究領域が目指す成果の創出が期待されること |
| 独創性・優位性 | 国内外の動向等を踏まえ、提案内容が独創性・優位性を有していること |
| 目標・計画 | 実施期間内に達成する目標、実施計画および予算計画が具体的かつ適切であること(CRESTでは国際展開を含む) |
| 実施体制(CRESTのみ) | 提案内容の遂行に最適な実施体制を構築していること |
| 遂行能力 | 提案内容の遂行に必要な活動実績および責任能力を有していること |
出典: 科学技術振興機構「2026年度 戦略的創造研究推進事業(CREST・さきがけ・ACT-X)募集要項」5.1.3(2026年7月3日参照)。研究領域ごとに独自の選考の観点・方針が追加されます。
このほか、研究費の「不合理な重複」または「過度の集中」にあたるかどうかも選考の要素となります。
9-2. 応募前のチェックリスト
9-3. 他の研究費との重複応募・エフォートの扱い
JST事業間および他の競争的資金との重複には、次のルールがあります(2026年度募集要項第6章・第7章)。
- 事業内の重複応募制限: CREST・さきがけ・ACT-X間の応募・参画の可否は、立場(研究代表者・主たる共同研究者・個人研究者)の組み合わせごとに募集要項第7章の一覧表で定められている
- 重複採択時の調整: 同時応募が認められる組み合わせでも、過度の集中・不合理な重複を考慮し、研究費の減額や、実施する研究をいずれか一方にする等の調整が行われることがある
- 実施中の研究者の新規応募: 現在CREST・さきがけ等を実施中の場合、研究期間が2026年度で終了するなら応募可能。2027年度以降まで続く場合は、実施中の領域の研究総括およびJST(またはAMED)の事前承認が必要(募集締切3週間前までに連絡)
- 不合理な重複・過度の集中: 他の競争的研究費との関係でも、不合理な重複や過度の集中にあたる場合は採択されない、または減額等の措置がある
9-4. よくある不採択の原因
- 研究領域との不一致: 良い研究でも、応募先の領域の趣旨に合っていなければ採択されない(選考基準の第一が「目的・趣旨」)
- 既存研究の延長にすぎない: 実施中の研究をそのまま持ってきた印象を与える提案
- 独創性の説明不足: 何が新しいのかが審査側に伝わらない
- 実現可能性への疑問: 構想は大きいが、裏付けとなる予備的な結果や計画の具体性が不足している
- 計画が漠然としている: 目標だけで、具体的なアプローチや予算計画が不明
10. よくある質問(FAQ)
QさきがけとCRESTの違いは何ですか?
Aさきがけは個人型研究で、研究期間は3年6ヶ月以内、研究費は総額3,000万〜4,000万円程度です。研究者が個人で独立した研究を行います。CRESTはチーム型研究で、研究期間は5年6ヶ月以内、研究費は総額1.5億〜5億円程度です。研究代表者がチームを組織し、複数機関で共同研究を行います。採択率は2025年度実績でさきがけ約9.7%、CREST約7.3%でした。
Qさきがけの採択率はどのくらいですか?
AJSTの公表値では、2024年度は応募1,636件に対し採択175件(約10.7%)、2025年度は応募1,734件に対し採択168件(約9.7%)でした。2025年度の領域別では約5.1%から約19.1%まで大きな幅があります。応募の多い領域ほど採択率が低くなる傾向があります。
Q博士課程の学生でもJSTの事業に応募できますか?
AACT-Xは大学院生を含む若手研究者が応募できます。対象は博士号取得後8年未満(博士号未取得の場合は学士号取得後13年未満、いずれも産休・育休期間は除算)で、研究費は総額450万〜600万円程度、研究期間は2年6ヶ月以内です。さきがけは、自らが研究構想の発案者であり、自立して研究を推進できる個人研究者であることが応募要件です。
Qさきがけの面接選考はどのように行われますか?
A書類選考を通過すると、書類選考会後1週間以内に電子メールで連絡があり、面接用資料の作成を依頼されます。面接選考では研究提案者本人が研究構想を説明します。原則は日本語で、日本語での実施が困難な場合は英語でも可能です。2026年度の面接選考は7月中旬から8月上旬にオンラインで実施予定とされています。時間配分などの詳細は領域ごとに個別に案内されます。
QCRESTとさきがけに同時に応募できますか?
A立場や状況によって可否が異なります。2026年度募集要項の第7章に応募・参画の可否の一覧表があり、同時応募が認められる組み合わせでも、重複して採択となる場合は研究費の減額やいずれか一方を選択する調整が行われることがあります。また、現在CRESTまたはさきがけを実施中の場合、研究期間が2026年度で終了するなら応募可能で、2027年度以降まで続く場合は研究総括とJSTの事前承認が必要です。必ず最新の募集要項をご確認ください。
Qさきがけ・CRESTの公募はいつ頃始まりますか?
A2026年度は4月7日に募集が開始され、さきがけ・ACT-Xは5月26日正午、CRESTは6月2日正午に締め切られました(さきがけ「エクスポソーム」領域のみ6月2日正午)。次年度の募集スケジュールは公表され次第、JSTの研究提案募集ページに掲載されます。
QERATOに応募するにはどうすればよいですか?
AERATOは研究者が直接応募するのではなく、研究総括候補とテーマの推薦を受け付ける方式です。他薦・自薦は問いません。推薦は通年で受け付けられており、選考の都合上、年度ごとに締切が設定されます(2026年度選考の締切は2025年9月30日でした)。研究期間は原則5年半以内、予算規模は1プロジェクトあたり総額上限12億円(直接経費)です。
Q選考結果はいつ通知されますか?
A2026年度の場合、書類選考の結果通知は7月上旬から7月下旬、面接選考は7月中旬から8月上旬、選定課題の通知・発表は9月下旬の予定です。書類選考での不採択は選考会後5営業日を目途に、面接選考での不採択は9月中旬を目途にe-Radを通じて通知され、不採択理由は9月中旬以降に通知されます。
※各プログラムの詳細は科学技術振興機構「CREST・さきがけ・ACT-X研究提案募集」で必ずご確認ください。
11. 関連リンク
JST公式
- CREST・さきがけ・ACT-X 研究提案募集ページ: 公募情報・募集要項
- 提案を募集する研究領域: 2026年度の全募集領域の詳細
- さきがけ(PRESTO)トップページ
- CREST トップページ
- ACT-X トップページ
- ERATO トップページ
- ERATO 研究総括候補・研究テーマの推薦公募
- 募集・採択情報(過去の採択課題一覧)
研究費サーチの関連ページ
- 研究費サーチ JSTの公募一覧: JSTの最新公募を一覧表示
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まとめ
JST戦略的創造研究推進事業(さきがけ・CREST・ACT-X・ERATO)への応募で押さえるべきポイントを振り返ります。
- キャリアに合ったプログラムを選ぶ: 大学院生を含む若手はACT-X、独立した個人研究はさきがけ、チーム型の大型研究はCREST
- 研究領域の選択が最重要: 選考基準の第一は領域趣旨との合致。研究総括の方針と自分の研究が合う領域を見極める
- 独創性と挑戦性を示す: 実施中の研究の延長ではなく、新しい挑戦であることを明確にする
- 具体的な計画と予備データで実現可能性を示す: 目標・実施計画・予算計画の具体性は共通選考基準に含まれる
- 面接選考は十分に練習する: 時間配分と想定質問への回答を事前に準備する
- 不採択でも再挑戦する: 採択率は10%前後の水準だが、不採択理由は9月中旬以降にe-Radで通知される。次年度の再応募に活かせる
さきがけ・CRESTは、科研費とは異なる独自の研究支援の仕組み(研究総括によるマネジメント、領域会議での異分野交流など)を提供しています。採択されれば研究費だけでなく、研究者としての視野を広げる機会が得られます。次年度の公募情報はJST公式サイトと当サイトで確認してください。