基盤研究は科研費(科学研究費助成事業)の中核をなす研究種目で、S・A・B・Cの4区分があります。区分によって研究費の規模だけでなく、審査区分と審査方式が大きく異なるため、自分の研究規模と実績に合った区分を選ぶことが採否を左右します。
本記事では、基盤研究S・A・B・Cの金額・研究期間・採択率・審査方式を、日本学術振興会(JSPS)の公式資料をもとに種目別に比較します。採択率は令和7年度(2025年度・令和8年3月現在)と令和8年度(2026年度・令和8年8月現在)の両方を併記し、いずれも記事末尾の出典一覧に対応しています。令和9年度(2027年度)の公募スケジュールもあわせて整理します。
この記事の要点
- 応募総額(研究期間全体)は基盤(C)が500万円以下、基盤(B)が500万円以上2,000万円以下、基盤(A)が2,000万円以上5,000万円以下、基盤(S)が5,000万円以上2億円以下
- 令和7年度の新規採択率は基盤S 12.1%・基盤A 26.1%・基盤B 26.7%・基盤C 27.4%(新規採択分・全分野平均)
- 令和8年度(令和8年8月現在)の新規採択率は基盤S 11.4%・基盤A 24.0%・基盤B 24.9%・基盤C 25.9%と、いずれも前年度から低下
- 1課題当たりの平均配分額は基盤C約128万円・基盤B約519万円・基盤A約1,210万円・基盤S約4,354万円(令和7年度新規)
- 令和9年度の基盤A・B・C公募は令和8年7月14日開始・令和8年9月17日午後4時30分締切(基盤Sは令和8年4月10日開始・6月16日締切で受付終了)
- 数値の出典は末尾の出典一覧を参照
いま応募できる公募
この記事の主題に関係する、募集中の公募です(2026年10月13日時点。「予定」は募集開始前)。各行から公募ページに移ると、締切・金額・募集要項・事務手続きを確認できます。
| 公募 | 機関 | 締切 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 令和9(2027)年度 科学研究費助成事業 特定奨励費 | 文部科学省 / 日本学術振興会(JSPS) | 2026年11月2日 | 要確認 |
| 令和9(2027)年度 外国人特別研究員(欧米短期)第2回予定 | JSPS | 2027年1月8日 | 滞在費 月額362,000円(博士号取得者)/月額200,000円(博士号未取得者)(往復国際航空券・海外旅行保険を別途… |
| 令和9(2027)年度 外国人特別研究員(一般)第2回予定 | JSPS | 2027年4月23日 | 滞在費 月額362,000円(往復国際航空券は現物支給、渡日一時金 定額200,000円、海外旅行保険を別途支給) |
| 令和9(2027)年度 外国人招へい研究者(短期)第2回予定 | JSPS | 2027年4月23日 | 滞在費 日額18,000円(往復国際航空券・海外旅行保険・調査研究費 上限150,000円を別途支給) |
| 令和9(2027)年度 外国人特別研究員(欧米短期)第3回予定 | JSPS | 2027年6月4日 | 滞在費 月額362,000円(博士号取得者)/月額200,000円(博士号未取得者)(往復国際航空券・海外旅行保険を別途… |
1. 基盤研究とは(科研費での位置づけ)
基盤研究は、研究者の自由な発想に基づく独創的・先駆的な研究を支援する種目で、人文・社会科学から自然科学まで全分野が対象です。研究費の規模に応じてS・A・B・Cの4区分が設けられており、ほぼすべての大学研究者が一度は応募する、最も基本的な種目群です(日本学術振興会「研究種目・概要」)。
科研費全体の種目体系の中で、基盤研究は以下のように位置づけられます。
| カテゴリ | 種目 | 特徴 |
|---|---|---|
| 基盤研究 | 基盤研究(S) | 大型の研究(5,000万〜2億円) |
| 基盤研究(A) | 大規模な共同研究(2,000万〜5,000万円) | |
| 基盤研究(B) | 中規模の研究(500万〜2,000万円) | |
| 基盤研究(C) | 個人〜少人数の研究(500万円以下) | |
| 若手研究 | 若手研究 | 博士学位取得後8年未満(500万円以下) |
| 挑戦的研究 | 開拓・萌芽 | 探索的・挑戦的な研究 |
| 学術変革領域研究 | A・B | 新領域の開拓(チーム型) |
出典: 日本学術振興会「研究種目・概要」(2026年7月3日参照)。金額・期間は最新の公募要領でご確認ください。
基盤研究は科研費の中で応募件数・採択件数がともに最も多い種目群です。令和7年度の新規採択分では、基盤研究(S)(A)(B)(C)を合わせて新規応募61,845件に対し新規採択16,758件で、基盤研究全体の新規採択率は約27.1%でした。
基盤研究の金額一覧(基盤A・基盤B・基盤C・基盤S)
金額だけを確認したい方向けに、令和9年度公募要領に示された応募総額と研究期間をまとめます。応募総額は研究期間全体の総額です。
| 種目 | 応募総額(研究期間全体) | 研究期間 | 年額の目安 |
|---|---|---|---|
| 基盤研究(S) | 5,000万円以上2億円以下 | 原則5年 | 年1,000万円から4,000万円程度 |
| 基盤研究(A) | 2,000万円以上5,000万円以下 | 3年から5年 | 年400万円から1,700万円程度 |
| 基盤研究(B) | 500万円以上2,000万円以下 | 3年から5年 | 年100万円から670万円程度 |
| 基盤研究(C) | 500万円以下 | 3年から5年 | 年170万円程度まで |
注: 「年額の目安」は応募総額を研究期間で割った編集部による換算値で、公募要領上の区分ではありません。実際の年度配分は研究計画によって異なります。
出典: 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(基盤研究(A・B・C)・挑戦的研究・若手研究)」および同「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(特別推進研究、基盤研究(S))」(いずれも2026年7月25日参照)。年額の目安は応募総額を研究期間で割った換算値であり、公式の区分ではありません。
表Aの金額はいずれも直接経費です。間接経費は直接経費の30%相当が別途措置され、研究機関が使用するものなので、研究代表者が応募書類に記載する必要はありません(令和9年度公募要領)。
2. 種目別 比較表
基盤研究4種目の主要な違いを一覧にまとめます。新規採択率は令和7年度(2025年度)と令和8年度(2026年度・令和8年8月現在)の両方を、平均配分額は令和7年度新規採択分を示します。
| 基盤研究(S) | 基盤研究(A) | 基盤研究(B) | 基盤研究(C) | |
|---|---|---|---|---|
| 研究費総額 | 5,000万〜2億円 | 2,000万〜5,000万円 | 500万〜2,000万円 | 500万円以下 |
| 研究期間 | 原則5年 | 3〜5年 | 3〜5年 | 3〜5年 |
| 新規採択率(令和7年度・令和8年3月現在) | 12.1% | 26.1% | 26.7% | 27.4% |
| 新規採択率(令和8年度・令和8年8月現在) | 11.4% | 24.0% | 24.9% | 25.9% |
| 平均配分額(1課題) | 約4,354万円 | 約1,210万円 | 約519万円 | 約128万円 |
| 審査区分 | 大区分 | 中区分 | 小区分 | 小区分 |
| 審査方式 | 総合審査+審査意見書(ヒアリングあり) | 総合審査(書面+合議) | 2段階書面審査 | 2段階書面審査 |
| 審査委員数 | 6名 | 7〜8名 | 5名 | 3名 |
| 主な対象者 | トップ研究者 | 教授・准教授 | 准教授・助教 | 全キャリア |
出典: 令和8年度と令和7年度の新規採択率は日本学術振興会「科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(令和8年度 新規採択分)」(令和8年8月現在、令和8年8月18日更新)、令和7年度の平均配分額は同「配分状況一覧(令和7年度 新規採択分)」(令和8年3月現在)(いずれも2026年8月19日参照。令和8年度の一覧では〔 〕内が令和7年度実績を示し、本記事の令和7年度の採択率と一致します)。審査区分・審査方式・審査委員数は同「令和9年度公募要領(基盤研究(A・B・C)・挑戦的研究・若手研究)」および同「令和9年度公募要領(特別推進研究、基盤研究(S))」(いずれも2026年8月19日参照)。採択率・配分額は新規採択分の全分野平均で、年度・分野により変動します。「平均配分額」は当該年度に配分された額(基金種目は当初計画に対する配分額)の1課題当たり平均であり、研究期間全体の応募総額とは異なります。
基盤研究(S・A・B・C)を合計した新規採択率は、令和7年度が27.1%(新規応募61,845件・新規採択16,758件)、令和8年度が25.5%(新規応募64,278件・新規採択16,381件)で、1.6ポイント下がりました。
科研費以外の制度も含めて採択率の水準を比べたい場合は、研究費の採択率まとめ2026(科研費・JST・AMED・民間財団の通過率と倍率)に一次データを集めています。
3. 基盤研究(S)(基盤s)の金額・採択率と対策
3-1. 基盤研究(S)の金額と研究期間
5,000万円以上2億円以下(研究期間全体の応募総額)、研究期間は原則5年というのが基盤研究(S)の規模です。年額に換算するとおおよそ1,000万円から4,000万円で、基盤研究の中で最も大型の研究費を獲得できる種目です。「独創的・先駆的な研究を格段に発展させる」ことを目的としており、既にトップレベルの研究実績がある研究者が、その研究をさらに大きく飛躍させるための資金です。新規採択率は令和7年度が12.1%(新規応募568件・新規採択69件)、令和8年度が11.4%(新規応募606件・新規採択69件)と、基盤研究4種目の中で最も競争が激しい種目です。
3-2. 審査の特徴
- 大区分での審査: 審査区分が最も広い「大区分」で行われ、大区分ごとに6名の審査委員が全ての応募研究課題について書面審査を行います。専門外の審査委員にも研究の意義や価値が伝わる申請書が必須です。
- 審査意見書方式: 応募者と専門分野が近い研究者(国内の研究機関に所属する審査意見書作成者3名程度)が「審査意見書」を作成し、それを踏まえて審査委員が総合的に審査します。専門性への配慮がある一方、意見書の評価が大きな影響を持ちます。
- ヒアリング: 書面審査と同一の審査委員が合議審査を行い、ヒアリングを行う研究課題を選定したうえでヒアリングを実施します。基盤研究(A・B・C)にはない段階です。
出典: 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(特別推進研究、基盤研究(S))」(2026年8月19日参照)。同要領は「大区分ごとに、6名の審査委員が全ての応募研究課題について、書面審査を行います」と定めています。
3-3. 対策のポイント
- これまでの研究の到達点を明示する: 基盤Sは「さらなる発展」を求める種目です。現在の研究がどこまで到達し、国際的にどの位置にあるかを明確にします。
- 5年間で何が格段に変わるかを示す: 漸進的な進歩ではなく、研究の質的転換や新しい枠組みの創出を提案します。
- 専門外にも伝わる書き方: 大区分審査のため、冒頭の1〜2段落で分野外の研究者にも研究の価値が伝わるよう工夫します。
- 国際的な波及効果: 国際学会での招待講演、主要ジャーナルでの論文実績、海外の共同研究者との連携体制を具体的に記載します。
4. 基盤研究(A)(基盤a)の金額・採択率と対策
4-1. 基盤研究(A)の金額と研究期間
2,000万円以上5,000万円以下(研究期間全体の応募総額)、研究期間は3年から5年で、年額に換算するとおおよそ400万円から1,700万円です。研究室を主宰する教授・准教授が、大規模な共同研究や国際共同研究を遂行するための研究費で、基盤Bからのステップアップとして応募されることが多く、「基盤Bの壁」を越えた先にある種目です。新規採択率は令和7年度が26.1%(新規応募2,468件・新規採択643件)、令和8年度が24.0%(新規応募2,548件・新規採択612件)で、令和7年度の1課題当たりの平均配分額は約1,210万円でした。
4-2. 審査の特徴
- 中区分での総合審査: 基盤B・Cの「小区分」より広い「中区分」で審査され、隣接分野の審査委員も含まれます。
- 書面審査+合議審査: まず書面で相対評価を行い、その結果をもとに審査委員が合議して採否を決定します。合議で評価が変わる場合もあります。
- 経費規模の必要性が問われる: 2,000万円以上の研究費が必要な根拠を、具体的な経費計画とともに示す必要があります。
4-3. 対策のポイント
- 研究チーム体制の具体性: 共同研究者の役割分担と、チームでなければ達成できない理由を明確にします。
- 中区分の審査委員を意識する: 隣接分野の審査委員にも伝わるよう、専門用語を適切に説明します。
- 経費の妥当性: 大型装置の購入、大規模データ収集、国際共同研究の旅費など、2,000万円以上が必要な具体的根拠を示します。
- 合議で推してもらえる要素を作る: 7〜8名の審査委員のうち、少なくとも1〜2名が強く推薦できるよう、研究の新規性と波及効果を際立たせます。
5. 基盤研究(B)(基盤b)の金額・採択率と対策
5-1. 基盤研究(B)の金額と研究期間
500万円以上2,000万円以下(研究期間全体の応募総額)、研究期間は3年から5年で、年額に換算するとおおよそ100万円から670万円です。中規模の研究費で一定の研究組織を持って進める研究に向いた種目で、基盤Cから基盤Bへの移行は多くの研究者にとって重要な区切りとなります。新規採択率は令和7年度が26.7%(新規応募12,312件・新規採択3,290件)、令和8年度が24.9%(新規応募13,155件・新規採択3,281件)で、令和7年度の1課題当たりの平均配分額は約519万円でした。
5-2. 「基盤Bの壁」とは
研究者コミュニティでよく語られる「基盤Bの壁」とは、基盤Cや若手研究からのステップアップ時に直面する難しさを指します。
- 金額の妥当性: 500万円を超える研究費がなぜ必要か、基盤Cでは不十分な理由を説明しなければなりません。
- 審査委員の増加: 基盤Cの3名から5名に増え、より多角的な視点で評価されます。
- 実績の要求水準: 原著論文の数と質、外部資金の獲得実績、国際的な活動がより問われます。
5-3. 対策のポイント
- 「なぜ500万円では足りないのか」を具体的に: 設備・装置の購入費、大規模実験の消耗品費、研究補助者の雇用費など、基盤Cの上限を超える必要性を項目別に説明します。
- 基盤Cの成果を土台として示す: 過去の基盤C等での成果が本研究の出発点であることを明示し、予備的データや方法論の確立を具体的に述べます。
- 年度ごとの具体的な研究計画: 3〜5年間の年度別計画を、達成目標とともに詳細に記載します。審査委員5名が計画の実現可能性を評価します。
- 研究分担者の必要性: 分担者を置く場合、なぜその研究者が必要か、どのような専門性を補完するかを具体的に述べます。
6. 基盤研究(C)は個別のガイドで解説しています
基盤研究(C)は、応募件数・採択件数ともに科研費で最大の種目です。応募総額は500万円以下、研究期間は3年から5年で、年齢・職位・受給回数の制限はありません。若手研究の応募要件(博士の学位取得後8年未満)を超えた研究者が、個人から少人数の規模で研究費を確保し続けるための中心的な種目にあたります。本記事は基盤研究4区分の比較が主題のため、金額の区分は上の表1と表2でご確認ください。
基盤研究(C)を検討している方へ
採択率、1課題あたりの実際の配分額、306ある小区分ごとの採択率の開き、若手研究や挑戦的研究(萌芽)との重複応募の可否、基盤研究(B)との使い分け、不採択のときに開示される内容は、個別のガイドにまとめています。
7. 種目の選び方
基盤研究の種目選びで最も重要な判断基準は、研究計画の遂行に必要な研究費の総額です。次の目安で候補を絞り込めます。
| 必要な研究費総額 | 目安となる種目 | 新規採択率(令和7年度) |
|---|---|---|
| 500万円以下 | 基盤研究(C)(または若手研究) | 約27% |
| 500万〜2,000万円 | 基盤研究(B) | 約27% |
| 2,000万〜5,000万円 | 基盤研究(A) | 約26% |
| 5,000万円以上 | 基盤研究(S) | 約12% |
出典: 金額区分は日本学術振興会「研究種目・概要」、採択率は同「科研費データ」(いずれも2026年7月3日参照)。
7-1. キャリアステージ別の目安
研究費総額に加え、キャリアステージも種目選びの参考になります。以下は制度上の応募制限を示すものではなく、応募傾向を踏まえた編集部による整理です。
| キャリアステージ | 候補となる種目 | 次の目標 |
|---|---|---|
| 博士課程〜ポスドク | 若手研究 / 挑戦的研究(萌芽) | 基盤C |
| 助教(着任初期) | 若手研究(要件内の場合) | 基盤C → 基盤B |
| 講師・准教授 | 基盤C → 基盤B | 基盤A |
| 教授(研究室主宰) | 基盤B → 基盤A | 基盤S |
| トップ研究者 | 基盤A → 基盤S | 特別推進研究 |
注: 上表は応募傾向を踏まえた編集部の整理であり、制度上の応募制限を示すものではありません。応募資格の詳細は最新の公募要領でご確認ください。
8. 審査方式の違い
基盤研究の審査方式は種目によって異なります。この違いを理解することが、採択される申請書を書く鍵です(日本学術振興会「審査について」)。
8-1. 2段階書面審査(基盤B・C)
対象: 基盤研究(B)、基盤研究(C)、若手研究(小区分・審査委員はBが5名、C・若手が3名)
- 1段階目(書面審査): 各審査委員が独立して申請書を評価し、相対評価でスコアを付けます。小区分ごとに審査委員が配置されます。
- 2段階目(書面審査): 1段階目の結果をもとに、判定が分かれた課題について再度書面で精査し、最終的な採否を決定します。
特徴: 合議がないため、申請書の文面だけで評価が決まります。審査委員が限られた時間で評価するため、読みやすさとわかりやすさが重要です。
8-2. 総合審査(基盤A)
対象: 基盤研究(A)(中区分・審査委員7〜8名)。なお挑戦的研究(開拓)も同じ総合審査方式です。
- 書面審査: 中区分ごとに配置された7〜8名の審査委員が、全課題を書面で相対評価します。
- 合議審査: 書面審査の結果をもとに、同じ審査委員が合議で審査します。書面では見えなかった研究の価値が合議で評価される可能性があります。
特徴: 合議審査があるため、1〜2名の審査委員が強く推すことで書面スコアが中位でも採択される場合があります。逆に、合議で問題点が指摘されて不採択になることもあります。
8-3. 総合審査+審査意見書(基盤S)
対象: 基盤研究(S)(大区分・審査委員6名+審査意見書)
- 審査意見書の作成: 応募者と専門分野が近い研究者(国内の研究機関に所属する審査意見書作成者3名程度)が審査意見書を作成し、専門的な観点から研究の価値と実現可能性を評価します。
- 書面審査: 研究計画調書と審査意見書等に基づき、大区分ごとに6名の審査委員が全ての応募研究課題について書面審査を行います。応募件数が多数の審査区分では、6名の審査委員で構成する複数の小委員会に分割して実施されます。
- 合議審査とヒアリング: 書面審査と同一の審査委員が合議審査の場で議論により審査を行い、ヒアリングを行う研究課題を選定したうえでヒアリングを実施します。小委員会に分割した場合、ヒアリングは小委員会を統合して審査区分単位で行われます。
特徴: 大区分審査のため、非常に幅広い分野の審査委員が評価します。専門外の委員にも研究の意義が伝わることが必須で、審査意見書の評価も重要な判断材料です。ヒアリングがあるのは基盤研究の中で基盤研究(S)だけです。
出典: 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(特別推進研究、基盤研究(S))」(2026年8月19日参照)。
8-4. 審査の主な観点
基盤研究の審査では、以下の観点が重視されます。
| 審査の観点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 研究課題の核心をなす学術的「問い」 | 何を明らかにしようとしているか。その「問い」は学術的に重要か |
| 学術的独自性と創造性 | 先行研究と比較して何が新しいか。独自のアプローチがあるか |
| 研究計画・方法の妥当性 | 提案する方法で目的が達成できるか。計画は具体的で実現可能か |
| 研究遂行能力と研究環境 | 申請者の業績、設備・体制は十分か |
出典: 日本学術振興会「審査について」(2026年7月3日参照)。詳細な評定要素は各年度の審査の手引でご確認ください。
8-5. 研究課題の国際性と国際・若手支援強化枠
令和7年度公募から、基盤研究(A・B・C)の審査に「研究課題の国際性」の評定要素が加わりました。研究計画調書の「1 研究目的、研究方法など」に、研究課題の国際性について記載することが求められます。あわせて基盤研究(B・C)には、若手研究者による国際性の評価が高い研究課題を追加的に採択する「国際・若手支援強化枠」が設けられています(令和9年度公募要領(基盤研究(A・B・C)・挑戦的研究・若手研究)、2026年7月25日参照)。
9. 令和9年度(2027年度)の公募スケジュール
令和9年度(2027年度)の基盤研究(A・B・C)と若手研究は、令和8年(2026年)7月14日に公募が開始され、締切は令和8年9月17日午後4時30分です。基盤研究(S)はこれより早く、令和8年4月10日公募開始・令和8年6月16日午後4時30分締切で、すでに受付を終了しています。公募通知および公募要領で示された主なスケジュールは以下のとおりです。
| 種目 | 公募開始 | 公募締切 | 審査結果通知 | 交付内定 |
|---|---|---|---|---|
| 基盤研究(S) | 令和8年4月10日 | 令和8年6月16日午後4時30分(受付終了) | 令和9年2月中旬 | 令和9年4月上旬 |
| 基盤研究(A・B・C)・若手研究 | 令和8年7月14日 | 令和8年9月17日午後4時30分(厳守) | 令和9年2月26日 | 令和9年4月上旬 |
注: 上記は公募通知に「令和9(2027)年度科研費公募スケジュール(予定)」として示された日程です。基盤研究(A・B・C)・若手研究の科研費電子申請システムは、令和8年7月22日の利用開始が予定されています。
出典: 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業の公募について」および同「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(特別推進研究、基盤研究(S))」(いずれも2026年7月25日参照)。予算成立の状況等により交付内定時期が変更されることがあります。
審査結果が出る時期を科研費以外の制度と並べて確認したい場合は、研究費の採択結果はいつ発表されるか(2026年秋から2027年春の発表時期一覧)にまとめています。
10. 他種目との使い分け
基盤研究だけでなく、他の科研費種目や外部資金との組み合わせを考えることが重要です。
10-1. 若手研究との比較
| 若手研究 | 基盤研究(C) | |
|---|---|---|
| 応募資格 | 博士学位取得後8年未満 | 制限なし |
| 研究費 | 500万円以下 | 500万円以下 |
| 新規採択率 | 約40%(令和8年度40.1%) | 約26%(令和8年度25.9%) |
| 重複応募 | 若手研究と基盤研究の重複応募には制限があります(基盤(C)とは併願不可、2回目の若手研究は基盤(S・A・B)と併願可など)。よくある組み合わせは重複制限の早見表を、正確な可否は公募要領の別表「重複制限一覧表」を確認してください | |
出典: 採択率は日本学術振興会「科研費データ」、応募資格・重複制限は同「基盤研究(A・B・C)・挑戦的研究・若手研究 公募情報」(いずれも2026年7月3日参照)。
10-2. 挑戦的研究(開拓・萌芽)との比較
| 挑戦的研究(開拓) | 挑戦的研究(萌芽) | 基盤研究 | |
|---|---|---|---|
| 研究費 | 500万〜2,000万円 | 500万円以下 | 種目による |
| 研究期間 | 3〜6年 | 2〜3年 | 3〜5年 |
| 求められるもの | 挑戦性・変革性 | 探索的な萌芽研究 | 独創性+実現可能性 |
| 使い分け | 確実性の高いテーマは基盤研究、リスクは高いが成功すれば影響が大きいテーマは挑戦的研究が向きます | ||
出典: 日本学術振興会「研究種目・概要」(2026年7月3日参照)。挑戦的研究の令和8年度の新規採択率は、開拓が10.4%(新規応募1,749件・新規採択182件)、萌芽が22.2%(新規応募9,561件・新規採択2,118件)です(同「配分状況一覧(令和8年度 新規採択分)」(令和8年8月現在)、2026年8月19日参照)。
挑戦的研究(萌芽・開拓)の採択率や若手研究・研究活動スタート支援との使い分けは、「科研費 若手研究・挑戦的研究(萌芽)・スタート支援の採択率と使い分けガイド」で詳しく解説しています。
10-3. 基盤研究と他の外部資金の組み合わせ
科研費は他の外部資金との併用が可能な場合が多く、研究費を複数の資金源で組み立てることが推奨されます。
- 基盤研究 + JST(CREST・さきがけ): 基礎研究の深化(科研費)と戦略的研究(JST)で異なる側面を推進します。
- 基盤研究 + 民間財団助成金: 科研費で主要研究を支え、民間助成金で萌芽的テーマを探索します。
- 基盤研究 + NEDO: 基礎研究(科研費)と社会実装(NEDO)の両面から取り組みます。
同一の研究内容に複数の資金を重複して使用することは禁止されています。研究テーマを差別化する必要があります。外部資金の全体像は「研究費の年間申請スケジュール2026」で確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q基盤研究S・A・B・Cの違いは何ですか?
A基盤研究は研究費の規模と審査方式が異なります。基盤C(500万円以下)は小区分で2段階書面審査、基盤B(500万〜2,000万円)も小区分で2段階書面審査ですが審査委員が5名に増えます。基盤A(2,000万〜5,000万円)は中区分で総合審査(書面+合議)、基盤S(5,000万〜2億円)は大区分で総合審査+審査意見書方式です。金額が大きくなるほど審査区分が広くなり、分野横断的な評価を受けます。
Q基盤研究BとCのどちらに応募すべきですか?
A研究に必要な経費が500万円以下で収まるなら基盤C、500万円を超える場合は基盤Bが適しています。令和7年度の新規採択率は基盤B約26.7%、基盤C約27.4%とほぼ同等ですが、審査委員が基盤Bは5名(基盤Cは3名)に増え、経費の妥当性がより詳細に評価されます。500万円を少し超える程度なら基盤Cに収める方が戦略的に有利な場合もあります。
Q基盤研究Aに応募するにはどのような実績が必要ですか?
A基盤研究Aは中区分での総合審査(書面+合議)のため、幅広い分野の審査委員を説得する必要があります。制度上の応募制限はありませんが、一般的には基盤B以上の科研費採択実績、国際的に評価される論文実績、大型の共同研究をマネジメントした経験が求められます。准教授以上で研究室を主宰する研究者が主な対象です。
Q若手研究と基盤研究Cは同時に応募できますか?
A若手研究の応募要件は「博士の学位取得後8年未満」で、年齢による制限ではありません。若手研究と基盤研究の重複応募には制限があり、応募可否は公募要領の別表「重複制限一覧表」で必ず確認してください。若手研究の応募資格がある場合、採択率が約40%と高いため若手研究を優先するのが一般的な戦略です。
Q基盤研究Sはどのような研究が採択されますか?
A基盤研究Sは令和7年度の新規採択率が約12%(12.1%・新規応募568件中新規採択69件)と最も競争が激しい種目です。「独創的・先駆的な研究を格段に発展させる」ことが求められ、既に国際的に高い評価を受けている研究をさらに大きく飛躍させる計画が採択されます。大区分での審査のため、専門外の審査委員にも研究の意義が伝わる申請書が必要です。
Q基盤研究の審査で最も重視されるポイントは何ですか?
A基盤研究の審査では主に4つの観点が重視されます。(1)研究課題の核心をなす学術的「問い」の明確さ、(2)研究目的の学術的独自性・創造性、(3)研究計画・方法の妥当性と実現可能性、(4)研究遂行能力と研究環境の適切性です。具体的な評定要素は日本学術振興会の審査の手引でご確認ください。
Q基盤研究S(基盤s)の採択率はどのくらいですか?
A令和7年度(2025年度)の基盤研究(S)の新規採択率は約12%(12.1%・新規応募568件中新規採択69件、日本学術振興会 科研費データより)で、基盤研究4種目の中で最も競争が激しい種目です。基盤S・A・B・Cの中では金額が最大(5,000万〜2億円)である一方、採択率は最も低くなります。
Q基盤研究A・B・C(基盤a・基盤b・基盤c)の採択率の違いは何ですか?
A令和8年度(2026年度)の新規採択率は、基盤a 24.0%、基盤b 24.9%、基盤c 25.9%で、いずれも4件に1件程度が採択される水準です(令和7年度はそれぞれ26.1%、26.7%、27.4%)。採択率自体は3種目とも大きく変わりませんが、研究費総額(基盤a: 2,000万〜5,000万円、基盤b: 500万〜2,000万円、基盤c: 500万円以下)と審査区分(基盤aは中区分・総合審査、基盤b・基盤cは小区分・2段階書面審査)が異なります。
Q基盤研究の倍率はどのくらいですか?
A倍率は採択率のおおよその逆数として捉えられます。令和7年度(2025年度)の新規採択率をもとにすると、採択率約27%の基盤b・基盤cは応募4件に対して採択1件強、採択率約26%の基盤aも同程度、採択率約12%の基盤Sは応募約8件に対して採択1件程度の競争となります。あくまで採択率から計算した目安であり、年度や分野(小区分)によって変動します。
Q令和9年度(2027年度)の基盤研究はいつ公募されますか?
A令和9年度は、基盤研究(A・B・C)と若手研究が令和8年(2026年)7月14日公募開始・令和8年9月17日午後4時30分締切(厳守)で、科研費電子申請システムの利用開始は令和8年7月22日が予定され、審査結果通知は令和9年2月26日、交付内定は令和9年4月上旬の予定です。基盤研究(S)は令和8年4月10日公募開始・令和8年6月16日午後4時30分締切ですでに受付を終了しており、審査結果通知は令和9年2月中旬の予定です。具体的な日程は年度ごとに異なるため、必ず最新の公募要領でご確認ください。
Q基盤研究(A)の金額はいくらですか。
A令和9年度公募要領では、基盤研究(A)の応募総額は2,000万円以上5,000万円以下(研究期間全体)で、研究期間は3年から5年です。応募総額を研究期間で割ると年額の目安はおおよそ400万円から1,700万円になりますが、これは編集部による換算値であり、公募要領上の区分ではありません。金額はいずれも直接経費で、間接経費は直接経費の30%相当が別途措置されます。
Q基盤研究(B)はいくらまで応募できますか。
A基盤研究(B)の応募総額は500万円以上2,000万円以下(研究期間全体)で、上限は2,000万円です。研究期間は3年から5年で、応募総額を研究期間で割った年額の目安はおおよそ100万円から670万円になります(編集部による換算値で、公募要領上の区分ではありません)。2,000万円を超える計画であれば基盤研究(A)が対象になります。
Q基盤研究の金額に間接経費は含まれますか。
A応募総額として示される金額は直接経費です。間接経費は直接経費の30%相当が別途措置され、研究機関が使用するものなので、研究代表者が応募書類に記載する必要はありません(令和9年度公募要領)。したがって基盤研究(C)で500万円を応募する場合、機関には別に間接経費が措置される形になります。
まとめ
基盤研究の種目選びで押さえるべきポイントを振り返ります。
- 必要な研究費の総額で種目が決まる: 500万円以下は基盤C、500万〜2,000万円は基盤B、2,000万〜5,000万円は基盤A、5,000万円以上は基盤S。
- 審査方式の違いを理解する: 基盤B・Cは書面のみ、基盤Aは合議あり、基盤Sは審査意見書+合議。それぞれに適した書き方があります。
- 審査区分の広さが変わる: 基盤B・Cは小区分、基盤Aは中区分、基盤Sは大区分と、金額が大きいほど幅広い分野の審査を受けます。
- 実績と研究規模に見合った種目を選ぶ: 経費の妥当性は審査の観点の一つです。区分の下限ぎりぎりの金額で応募する場合は、その額が必要な根拠を示せるかを確認してください。
- 段階的にステップアップする: 若手研究や基盤Cから始め、キャリアとともに種目を上げていくのが一般的です。
種目が決まったら、次は申請書の作成です。「科研費 研究計画調書の書き方ガイド」で研究計画調書の作成手順を確認してください。
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出典・参考文献
- 日本学術振興会「科学研究費助成事業(科研費)」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「科研費データ(研究種目別配分状況一覧・研究期間別新規応募採択件数)」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/27_kdata/index.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「研究種目・概要」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/01_shumoku/index.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「審査について」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/03_shinsa/index.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(基盤研究(A・B・C)・挑戦的研究・若手研究)」 https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_kiban_2026_g_4978/r9_7_kobo.pdf(2026年7月25日参照)
- 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業の公募について」 https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_kiban_2026_g_4978/r9_7_kobotsuchi.pdf(2026年7月25日参照)
- 日本学術振興会「令和9年度科学研究費助成事業 公募要領(特別推進研究、基盤研究(S))」 https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_tokus2026/r9_4_kobo.pdf(2026年7月25日参照)
- 日本学術振興会「科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(令和8年度 新規採択分)」(令和8年8月現在、令和8年8月18日更新) https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_27_kdata_g_5144/3-1-1_r8_0818.pdf(2026年8月19日参照。令和8年度と令和7年度の新規応募・新規採択・新規採択率)
- 日本学術振興会「科研費(補助金分・基金分)配分状況一覧(令和7年度 新規採択分)」(令和8年3月現在) https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_27_kdata_g_4795/3-1-1_r7_0330.pdf(2026年8月19日参照。令和7年度の1課題当たり平均配分額)
- 日本学術振興会「基盤研究(A・B・C)・挑戦的研究・若手研究 公募情報」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/02_koubo/kiban.html(2026年7月3日参照)
- 国立情報学研究所「KAKEN 科学研究費助成事業データベース」 https://kaken.nii.ac.jp/(2026年7月3日参照)
最終更新:
検証方針: 本記事の採択率・金額・スケジュールは日本学術振興会の公式資料(配分状況一覧・公募要領・公募通知・審査についてのページ)を一次ソースとして確認しています。採択率は令和7年度(2025年度・令和8年3月現在)と令和8年度(2026年度・令和8年8月現在)を併記しています。令和8年度の数値は令和8年8月18日に更新された配分状況一覧の掲載値であり、今後の更新で変わる場合があります。金額と日程は令和9年度(2027年度)公募要領に基づきます。出典を確認できない情報は掲載せず、確認できない事項は「要確認」と明記します。
本記事はAI(Claude)が作成したコンテンツです。データや制度の詳細については、必ず各機関の公式サイトでご確認ください。