AI・機械学習分野の研究助成金一覧
AI・機械学習・深層学習・自然言語処理の研究費・公募を網羅。NEDO次世代AI、JST CREST、JST ACT-X、AI for Science(ARiSE)、ムーンショット等の助成金を2026年度版で一覧化。締切・金額で絞込み可能です。
AI・機械学習分野は、NEDO・JST・AMED・内閣府(SIP/ムーンショット/K Program)を中心とした国家プロジェクトに加え、栢森情報科学振興財団・大川情報通信基金・島津科学技術振興財団・船井情報科学振興財団などの民間財団からの資金も充実した重点領域です。対象テーマは深層学習・自然言語処理(LLM)・生成AI・マルチモーダル基盤モデル・フィジカルAI・医療AI・AIロボティクス・量子AI・データ駆動科学(AI for Science)など多岐にわたります。
本ページでは研究費サーチ収録のうち、分野タグまたは対象領域に「AI」「機械学習」「人工知能」等を含む47件を統合的にまとめました。分野横断で使える民間財団助成まで見渡せるのが特徴です。
AI分野の研究助成金を取り巻く状況
生成AIの登場以降、日本政府のAI関連研究開発予算は急拡大しています。経済産業省の「フィジカルAI開発プロジェクト」は産業界全体で1兆円規模を目指すパッケージとして位置づけられ、NEDOが実施機関として生成AI基盤モデル開発事業「GENIAC」やAI-Ready化関連事業を継続してきました。文部科学省側ではJSTがCREST・さきがけ・ACT-X・ASPIRE・BOOST・CRONOSといった情報科学系ファンドを並行運営しており、2026年度はAI for Science 革新的研究推進事業(ARiSE)という新規プログラムの公募予告も出ています。
AMEDは医療AI領域に特化した資金として、医工連携・人工知能実装研究事業、介護テクノロジー社会実装のためのエビデンス構築事業、予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業などを毎年度継続。内閣府主導のSIP第3期、ムーンショット目標7、K Program(経済安全保障重要技術育成プログラム)もAI・量子・半導体を重点分野として数億〜数十億円規模の大型採択を重ねています。
民間財団も重要な資金源です。栢森情報科学振興財団・大川情報通信基金・船井情報科学振興財団・島津科学技術振興財団・電気通信普及財団は、100〜300万円クラスの小回りの利く情報科学系助成を提供し、科研費・CREST挑戦前のフィージビリティ研究や、単独PIでの学術アイデア検証に利用されています。ここ数年は日本循環器学会「循環器AI研究助成」のように学会主催のドメイン特化型AI助成も増えてきました。
主要プログラム早見表
AI・機械学習分野で押さえておきたい代表的なプログラムを、規模・対象・特徴で比較します。
| プログラム | 機関 | 規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CREST | JST | 1.5〜5億円/5年半 | チーム型基礎研究。情報科学系領域(信頼されるAI等)で継続公募。日仏共同提案募集も実施。 |
| さきがけ | JST | 総額3,000〜4,000万円/3.5年 | 個人型の挑戦的研究。情報科学・AI数理領域が常設。 |
| ACT-X | JST | 総額450〜600万円/2.5年 | 博士課程・若手独立研究者向け。AI領域あり。 |
| BOOST 次世代AI人材育成プログラム | JST | 最大5,000万円/5年 | 若手AI研究者の大型長期支援。 |
| CRONOS | JST | 年間最大2,700万円+環境整備費 | 情報通信科学・イノベーション基盤を創出する新設プログラム。 |
| CREST 日仏共同提案募集 | JST/ANR | 1.5〜5億円+間接30% | AI・数学分野で日仏チームが共同応募。 |
| AIマルチモーダル基盤モデル開発 | NEDO | 委託事業・大規模 | フィジカルAI・ロボティクス連携の基盤モデル開発。 |
| SBIR推進プログラム | NEDO | フェーズ1 最大1,500万〜2,000万円/フェーズ2 最大5,000万〜1億円 | スタートアップ・企業向け段階型補助。 |
| 医工連携・人工知能実装研究事業 | AMED | 年間最大5,200万円・最長6年 | 医療AI・AI医療機器の社会実装ステージゲート型。 |
| ムーンショット 目標7 | 内閣府/AMED | 約10〜23億円/5年 | 医療・ヘルスケア領域での破壊的イノベーション。 |
| K Program | 内閣府/JST・NEDO | 数億〜数十億円 | 経済安全保障重要技術(AI・量子・半導体等)の大型育成。 |
金額・期間は公募回や採択類型により異なります。最新情報は各公募ページの「応募要項」リンクから公式サイトを必ずご確認ください。
NEDO系(ポスト5G、次世代AI、フィジカルAI等)
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は経済産業省所管の公募実施機関として、AI研究開発プロジェクトの中心的役割を担っています。AI関連の主な枠組みは次のとおりです。
- ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業: 生成AI基盤モデル、先端半導体、量子コンピュータ、AI-Ready化など情報通信・半導体連携テーマの大型枠組み。本ページでは 生成AI基盤モデル開発調査・量子コンピュータユースケース調査・触覚-動作統合フィジカルAI・製造業データAI-Ready化等を収録しています。
- GENIAC関連事業: 生成AI基盤モデルの開発支援・計算資源提供・懸賞金型プログラムを組み合わせ、国内生成AIエコシステム形成を目指します。競争力ある生成AI基盤モデルの開発、データエコシステムの構築等、ロボット基盤モデル、懸賞金型のGENIAC-PRIZEなどで構成されます。
- AIロボット・フィジカルAI: AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業は、言語・画像・動作をまたぐマルチモーダル基盤モデル構築を委託事業として実施する新興プロジェクトです。
- SBIR推進プログラム: フェーズ1・フェーズ2・連結型は、スタートアップが段階的に研究開発資金を獲得する枠組みで、AI・情報通信分野の採択多数。
- 懸賞金活用型プログラム: 脳由来信号を活用した新システムの開発、緊急対応ロボット技術展開チャレンジ、量子コンピュータ社会課題ソリューションなどコンテスト形式の資金配分スキーム。
- 産学連携拠点形成: 科学とビジネスの近接化時代の大規模産学連携拠点形成事業は、AI・量子・半導体・バイオ等の国家戦略技術領域で最大25億円を拠点形成に投じます。
JST系(CREST「信頼されるAI」、さきがけ、ACT-X、BOOST)
JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)は、基礎研究から若手育成、国際共同まで幅広いAI研究支援を展開しています。AI・情報科学で特に重要なプログラムは以下の通りです。
- CREST: チーム型の戦略的創造研究推進事業。情報科学系の研究領域として「信頼されるAI」「基礎基盤から応用展開までのAIの飛躍的発展」などが常設されてきました。総額1.5〜5億円(直接経費、5年半)+間接経費30%で、PI+共同研究者によるチーム編成が必須です。
- CREST 日仏共同提案募集: JSTとフランス国立研究機構(ANR)が共同で実施する国際枠で、2026年度は「人工知能・数学」領域が対象。日仏それぞれのチームが連携提案を行います。
- さきがけ: 個人型の挑戦的研究資金。情報科学・AI数理領域が継続的に設定されており、PI個人のユニークなアイデアを3.5年・総額3,000〜4,000万円程度で支援します。
- ACT-X: 博士課程・若手独立研究者向け。AI領域では「AIパワードサイエンス」などの研究領域が設定されてきました。総額450〜600万円(2.5年以内)。
- BOOST 次世代AI人材育成プログラム: 若手AI研究者の大型長期支援枠。最大5,000万円・5年の大型個人支援で、クロスアポイントメント等の制度活用が前提。
- CRONOS: 情報通信科学・イノベーション基盤創出を掲げる新設プログラム。基盤研究は年間最大2,700万円+環境整備費(初年度800万円)。
- ASPIRE: 先端国際共同研究推進事業。AI・量子・半導体・バイオ領域で日米・日欧などの国際チーム編成を前提に、Top型は最大5億円、次世代型は最大9,000万円を支援します。
民間財団のAI研究助成
民間財団の情報科学系助成は、CREST・AMEDなどの大型競争資金とは別に、柔軟に使える100〜300万円クラスの資金として研究者に重宝されています。単独応募が前提で分担者調整の負荷が低く、PI独立直後やフィージビリティ研究、学会発表準備の補填にも向きます。
- 栢森情報科学振興財団: 情報科学・情報工学分野の基礎研究を中心に、100〜300万円程度を複数件助成。AI・アルゴリズム・セキュリティ等のテーマが採択されやすい傾向です。
- 大川情報通信基金: 情報通信・AI・バイオ医療・ロボティクス・人文社会科学分野。国内研究助成は1件120万円(間接経費含む)で、幅広い情報通信関連研究を支援します。
- 船井情報科学振興財団 船井学術賞 / 船井研究奨励賞: 情報科学分野の若手・中堅研究者を表彰するとともに研究助成金を交付する枠で、AI・量子計算・ネットワーク等の採択実績があります。
- 島津科学技術振興財団: 科学計測領域を中心とするが、データサイエンス・先進情報領域でのAI応用も採択対象。1件100万円で毎年度20件以上を支援。
- 電気通信普及財団 研究調査助成: 情報通信の社会的・経済的側面の調査研究を支援。AIガバナンス・情報通信政策研究など社会科学寄りのAI研究でも応募可能。
- GMOインターネット財団: 情報セキュリティ・AI・ブロックチェーン領域を対象とする民間助成。
- カシオ科学振興財団 / 村田学術振興財団: 情報通信・電子・機械を含む広範な自然科学分野を対象とし、AI関連テーマも採択実績があります。
- セコム科学技術振興財団 特定領域研究助成: 情報セキュリティ分野での集中的研究支援。サイバー攻撃防御・AIセキュリティ・プライバシー保護技術が重点対象。
- 日本循環器学会 循環器AI研究助成: 学会主催のドメイン特化AI助成の代表例。医療系学会がAI研究を明示的に公募する事例が増えています。
民間財団助成をまとめて探すには財団一覧や民間財団助成金まとめも参照してください。
採択されやすい研究テーマの傾向
過去の採択動向から、AI分野の競争的資金で高評価を得やすい研究テーマには一定のパターンがあります。応募書類の「研究の意義」「社会実装ストーリー」を構成する際の参考にしてください。
1. ドメイン連携(AI × 医療/材料/エネルギー/農業)
純粋な機械学習理論よりも、ドメイン知識を掛け合わせたAI応用研究が採択されやすい傾向があります。例: 医療画像診断AI(AMED医工連携)、創薬AI(アステラス病態代謝研究会)、材料探索AI(JSTさきがけ)、スマート農業AI(農林水産省・スマート農業技術橋渡し支援)、自動運転・MaaS(スズキ財団 課題提案型)など。
2. 社会実装・臨床実装の視点
AMED・SIP・ムーンショット系では、研究成果を医療現場・産業現場に届けるための「実装戦略」を明確に示せる提案が評価されます。PMDA相談の計画、臨床研究法対応、企業とのライセンス交渉スケジュールなど、実装に向けた現実的な工程が書かれているかがポイントです。
3. 信頼性・説明可能性・倫理的AI
CRESTの「信頼されるAI」領域をはじめ、AI倫理・公平性・頑健性・解釈可能性・プライバシー保護といったテーマは国内外で重要度が高まっています。特に日本では個人情報保護法改正やAI事業者ガイドラインに呼応した技術研究が求められています。
4. フィジカルAI・マルチモーダル基盤
NEDOのフィジカルAI関連事業やAIマルチモーダル基盤モデル開発事業など、言語だけでなくロボット制御・触覚・視覚を統合したAIの開発が2025〜2026年度の重点領域として位置づけられています。
5. 大規模計算資源・データを活用する提案
生成AI・LLM開発では、GENIACのように計算資源そのものを提供する事業も増えています。自前GPUクラスタだけに頼らず、国の計算資源基盤(産総研ABCI・産業技術総合研究所のクラウドラボ等)と連携する提案は、資金面だけでなく計算資源の観点でも強みになります。
6. 若手独立研究者の独創性
ACT-X・BOOST・さきがけ・民間財団助成では、既存の大規模研究室の延長ではない、独立した若手PIの新しい視点・アイデアが評価されます。特にPhD取得直後のポジションから申請する場合は、メンター研究者や共同研究ネットワークの多様性も加点要素です。
よくある質問
AI研究で最も大型の助成金は?
AI領域で最大規模の競争的研究資金はJST CREST(1.5〜5億円/5年半)と内閣府のムーンショット型研究開発制度(1提案あたり約10〜23億円/5年)です。CRESTの情報科学系領域(2026年度は日仏共同提案募集を実施)は基礎研究から応用までをカバーします。国家プロジェクト規模ではNEDO AIマルチモーダル基盤モデル開発事業(フィジカルAI基盤モデル)や内閣府K Program(経済安全保障重要技術育成プログラム、数億〜数十億円)も大型AI案件として開かれています。
若手AI研究者でも応募できるプログラムは?
JST ACT-Xは博士課程・若手独立研究者向けの代表的なAI系プログラムで、総額450〜600万円(2.5年以内)が交付されます。JST BOOST次世代AI人材育成プログラムは若手研究者を5年・最大5,000万円規模で支援する大型の若手枠です。さらにAMED 医療機器等研究成果展開事業の若手女性・チャレンジタイプ、栢森情報科学振興財団・大川情報通信基金・船井情報科学振興財団の研究助成も、PI経験が浅い研究者やポスドクでも応募可能なAI・情報科学系の資金です。若手研究者向け助成金まとめも参照してください。
倫理審査が必要なAI研究はどのプログラムに向く?
医療AI・ヘルスケアAI・行動データ解析などヒトを対象とする研究は、AMEDの医工連携・人工知能実装研究事業、予防・健康づくり研究開発基盤整備事業、SIP第3期統合型ヘルスケアシステム、ムーンショット目標7が適しています。これらは臨床研究法・倫理指針への準拠が前提で、倫理審査委員会(IRB)の承認手続きを織り込んだスケジュール設計が求められます。申請前には所属機関のIRBに早期に相談し、データ利用同意や匿名加工のプロトコルを確立しておくと有利です。
企業との共同研究前提のAI助成金は?
NEDO SBIR推進プログラム(フェーズ1・2)やNEDO AIマルチモーダル基盤モデル開発事業は、企業主体または産学連携コンソーシアムでの応募が想定されています。JST CRONOSは大学発の情報通信基盤研究をテーマに産業界とのシーズ連携を掲げ、科学とビジネスの近接化時代の大規模産学連携拠点形成事業はNEDOが最大25億円規模で産学拠点形成を支援します。内閣府K ProgramやSIP第3期、スズキ財団の課題提案型研究助成も、企業とのマッチングやデータ提供を前提とした応募が有利になります。
社会実装に重点を置いたAIプログラムは?
AMED 医工連携・人工知能実装研究事業、AMED 予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業、AMED 介護テクノロジー社会実装のためのエビデンス構築事業は、名称のとおり社会実装・臨床実装を到達点とするAI関連プログラムです。内閣府SIP第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」やムーンショット目標7は、国家戦略として医療DX・生活ヘルスケアへのAI導入を前提にしています。NEDO GENIACやフィジカルAI開発プロジェクトは、産業側での実装まで視野に入れた経済産業省系の政策パッケージとして機能します。