バイオテクノロジー・創薬分野の研究助成金一覧
創薬・バイオテック・ゲノム・再生医療・合成生物学分野の研究費・公募を網羅。AMED創薬基盤推進事業、LEAP、AMED-CREST/PRIME、JST CREST/さきがけ/ACT-X、上原記念、内藤記念、小野薬品、アステラス、武田等の民間財団まで、主要プログラムを2026年度版で一覧化。創薬ベンチャーエコシステム強化事業(VC認定)など社会実装ステージの枠も掲載しています。
バイオテクノロジー・創薬分野は、AMED(日本医療研究開発機構)を中核に、JST(科学技術振興機構)・厚生労働省・内閣府(ムーンショット)、そして上原記念生命科学財団・内藤記念科学振興財団・第一三共生命科学研究振興財団・小野薬品がん・免疫・神経研究財団・アステラス病態代謝研究会・武田科学振興財団・発酵研究所・興和生命科学振興財団など民間財団が多層的に研究資金を供給する重点領域です。対象テーマは低分子創薬・抗体医薬・核酸医薬・再生医療・遺伝子治療・がん免疫・感染症・ゲノム解析・合成生物学・オルガノイド・細胞治療など多岐にわたります。
本ページでは研究費サーチ収録のうち、ライフサイエンス・創薬・医学・ゲノム・バイオ関連の分野タグをもつ主要公募55件を、アカデミア向けの基礎研究支援からベンチャー向け実用化支援までまとめました。
バイオテクノロジー・創薬分野の研究費概観
創薬・バイオ領域は日本の研究開発投資の中で比重の大きい分野です。AMEDは令和7年度予算ベースで1,500億円規模の研究開発統合推進予算を運営し、その中核にあるのが創薬基盤推進研究事業(アカデミア発シーズ〜企業への橋渡し)、次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(アンドラッガブル標的創薬)、革新的先端研究開発支援事業(LEAP/AMED-CREST/PRIME)、再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム、創薬ベンチャーエコシステム強化事業といった一連の枠組みです。
JSTは基礎研究側からCREST・さきがけ・ACT-Xでライフサイエンス領域を長期支援し、ASPIRE(先端国際共同研究推進事業)でバイオ・医療分野の国際連携にも資金を付けています。厚生労働省は厚生労働科学研究費補助金を通じて感染症・アレルギー・がん・肝炎・エイズ・移植・再生医療・レギュラトリーサイエンスといった政策課題研究を支えており、毎年度1次・2次公募を実施しています。内閣府のムーンショット型研究開発制度では目標2(超早期疾患予測・介入)、目標7(医療・ヘルスケア)などバイオ関連目標が複数設定されています。
民間財団の存在感も大きいのが本分野の特徴です。上原記念生命科学財団(研究助成金500万円、研究奨励金200万円、海外留学助成600万円)、内藤記念科学振興財団(科学奨励金300万円、次世代育成研究助成600万円、女性研究者助成600万円、海外留学助成700万円)、第一三共生命科学研究振興財団(200〜400万円)、小野薬品がん・免疫・神経研究財団(3,000万円/件)、アステラス病態代謝研究会(200万円×80件)、発酵研究所(大型研究助成1,000万円)、興和生命科学振興財団、シオノギ感染症研究振興財団(500万円/件)などが、科研費・AMED競争資金と並行して使える研究資金として毎年度公募されています。
AMED創薬5事業(基礎〜実用化までの全ステージ)
AMEDの創薬系事業は、基礎シーズ探索から非臨床POC取得、First-in-Human治験、ベンチャー支援まで、ステージごとに5つの柱に整理できます。
| 事業名 | 想定ステージ | 規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 革新的先端研究開発支援事業 LEAP | 基礎シーズ〜臨床応用 | 要確認(長期大型) | インキュベートタイプ。産学連携による基礎から臨床応用までの一貫支援。 |
| AMED-CREST/PRIME(核酸フロンティア) | 基礎研究〜シーズ創出 | 要確認(CREST=チーム型、PRIME=個人型) | 令和8年度は「核酸フロンティア」領域。時限的研究開発体制で画期的医療シーズを創出。 |
| 次世代治療・診断創薬基盤技術(アンドラッガブル) | ヒット同定〜リード最適化 | 年間1億〜2.5億円(枠による) | アンドラッガブル標的・TPD(標的タンパク質分解)創薬の基盤技術開発。 |
| 創薬基盤推進研究事業(産学官共同型) | 産学連携創薬 | 要確認 | 2次公募あり。税額控除対象の産学官共同研究。 |
| 創薬ベンチャーエコシステム強化事業 | First-in-Human前後〜治験 | 要確認(VC認定+マッチング) | 認定VCと連携するベンチャー公募。治験費用・GMP原薬製造等を支援。 |
LEAPは基礎研究フェーズでの長期インキュベート枠として、AMED-CREST/PRIMEは研究領域トピック(令和8年度は核酸科学)に沿った挑戦的研究を、アンドラッガブル標的創薬事業はTPD(Targeted Protein Degradation)など従来困難だった標的への新規モダリティ開発を、創薬基盤推進研究事業は産学連携による実用化直前の非臨床段階を、創薬ベンチャーエコシステム強化事業は臨床開発ステージのベンチャーを、それぞれカバーします。
再生医療プロジェクト(iPS・オルガノイド・遺伝子治療)
再生医療・細胞治療・遺伝子治療は、2014年の再生医療等安全性確保法施行以降、AMEDが集中的に支援してきた重点分野です。研究ステージ別に次のような枠組みが整備されています。
- 再生医療等実用化研究事業(2次公募): 年間最大1,500万円(間接経費除く)。オルガノイド・幹細胞・NAMs(動物実験代替法)を活用した前臨床評価系の開発や創薬応用研究が対象。
- 再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム(非臨床POC取得研究課題): チーム型最大8,000万円/年、個人型最大4,000万円/年。非臨床POCからFirst-in-Human治験移行までの加速支援。マイルストーン達成時の増額あり。
- 再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム(基礎応用研究課題): 基礎から応用への橋渡し研究で最大1,000万〜5,000万円/年(枠による)。
- 再生医療等実用化研究事業(1次公募、2026年1月締切・終了): 毎年度1次で公募される中核枠。再生医療等安全性確保法下の第一種・第二種再生医療等提供計画へのつなぎ研究が想定されます。
- 移植医療技術開発研究事業: 臓器移植・造血幹細胞移植の技術開発。
- 厚生労働科学研究費 先端医療技術等政策研究事業: 再生医療・mRNA医薬など先端モダリティの政策研究。年950万円/年。
再生医療研究では、再生医療等安全性確保法に基づく認定再生医療等委員会での審査、特定細胞加工物製造許可、PMDAの薬事戦略相談といった規制対応工程が研究計画書で問われます。基礎研究の段階でも「どのタイミングで認定委員会・PMDA相談を挟むか」を工程表で示せる提案が評価されやすい傾向があります。
ゲノム医療・精密医療の研究資金
ゲノム医療領域はAMEDと厚生労働省が主力の資金源です。ヒトゲノム解析を伴う研究は生命・医学系指針の遵守とIRB承認が必須で、長期コホート・バイオバンク連携型の大規模研究が採択されやすい分野でもあります。
- 次世代がん医療加速化研究事業: がんゲノム医療・がん免疫療法・バイオマーカー創出の加速化。若手育成枠あり。
- AMED がん領域 難治性がん克服フラッグシッププログラム: 年間最大3,900万円(間接経費別)。難治性がん(膵がん・胆道がん・スキルス胃がん等)の全ゲノム解析・標的探索・臨床応用。
- 革新的医療技術研究開発推進事業 難病・希少疾病治療グローバル研究開発支援事業: 実現可能性調査最大2億円(100%補助)、国際共同治験最大30億円(50%補助・最大15億円)。全ゲノム解析(WGS)ベースの希少疾患同定と治療薬開発。
- 認知症研究開発事業: 最大8,000万円/年(枠による)。アミロイド・タウのバイオマーカー解析、アルツハイマー病のリスク遺伝子研究を含む。
- 厚生労働科学研究費 認知症政策研究事業: 2,000万〜2,500万円/年。
- 免疫アレルギー疾患実用化研究事業: 年間750万〜2,000万円。疾患メカニズムの分子解析・創薬標的探索。
- 新興・再興感染症研究基盤創生事業: 海外拠点活用研究領域・多分野融合研究領域で年最大1,000万〜1,500万円。病原体ゲノム解析・メタゲノム解析。
ゲノム医療系の民間財団助成としては、第一三共生命科学研究振興財団 研究助成(200〜300万円)、同 PIセットアップ研究助成(400万円/件)が、独立直後のPIがゲノム解析装置・計算基盤整備に充てる資金として活用されています。
創薬ベンチャー支援(VC認定・エコシステム強化)
日本では2022年頃から経済産業省・厚生労働省・AMEDが連携してバイオ・創薬ベンチャーエコシステムの整備を加速し、創薬ベンチャーエコシステム強化事業が毎年度複数回の公募で運用されています。大学発スタートアップや創業初期のバイオベンチャーが治験・GMP原薬製造・GLP非臨床試験・知財戦略のためにまとまった研究費を獲得できる枠として位置づけられています。
- 創薬ベンチャーエコシステム強化事業(VC認定)第8回: 認定ベンチャーキャピタル(VC)を選定する枠。創薬ベンチャーと認定VCが連携する前提のマッチング制度。
- 創薬ベンチャーエコシステム強化事業(創薬ベンチャー公募)第13回: 認定VCが支援するベンチャーを対象に、がん・難病の臨床試験費用を含む研究開発費を支援。
- 革新的医療技術研究開発推進事業(産学官共同型)六次公募【公募予告】: アカデミアタイプとスタートアップタイプの両トラックを設定予定。2026年8月締切予定。
- 難病・希少疾病治療グローバル研究開発支援事業: 国際共同治験に最大30億円を50%補助する大型制度。海外治験を視野に入れるベンチャーに適する。
- 橋渡し研究プログラム: 大学発シーズをベンチャー移行・企業導出に橋渡しする枠。
- スマートバイオ創薬等研究支援事業: AI創薬・バイオインフォマティクス活用の支援。
創薬ベンチャー関連事業では、事業計画(BP)、マイルストーン設定、出口戦略(ライセンスアウト・M&A・上場)、知財ポートフォリオ、創業者・経営陣の実績が審査で重視されます。認定VCから資金調達済であること(またはターム シート締結段階であること)が実質的な前提となるケースもあります。アカデミア研究者がスタートアップ創業と並行して応募する場合は、所属機関の利益相反管理・兼業規程の事前整理が必要です。詳細はAMED創薬・医療機器プログラムガイドやAMED公募一覧を参照してください。
よくある質問
アカデミア創薬とベンチャー創薬の研究助成はどう使い分けるか?
基礎シーズの探索と標的妥当性検証の段階ではAMED LEAP(革新的先端研究開発支援事業インキュベートタイプ)、AMED-CREST・PRIME、JST CREST/さきがけといったアカデミア向けの長期・大型支援が適しています。一方、非臨床POC取得・リード最適化・GMP原薬製造・GLP非臨床試験・First-in-Human治験といった実用化に近い段階では、AMED創薬ベンチャーエコシステム強化事業(VC認定・創薬ベンチャー公募)やAMED難病・希少疾病治療グローバル研究開発支援事業が想定されています。研究ステージとアウトプット目標で制度を選び分けることが重要です。AMED創薬・医療機器プログラムガイドも参照してください。
AMED-CRESTとJST CRESTはどう違うか?
JST CRESTは科学技術振興機構が運営する戦略的創造研究推進事業のチーム型で、情報・ライフサイエンス・ナノテク・環境など幅広い領域を対象に総額1.5〜5億円・5年半を支援します。AMED-CRESTは日本医療研究開発機構の革新的先端研究開発支援事業のうちチーム型で、医療応用を目指したシーズ開発に焦点を絞った領域設定(令和8年度は核酸フロンティア等)がされるのが特徴です。PRIMEはAMED-CRESTの個人型として併設されます。医療応用を見据えた基礎研究はAMED系、非医療分野や基礎科学寄りの提案はJST系が向きます。
知財戦略が強く問われる公募はどれか?
創薬ベンチャーエコシステム強化事業(VC認定・創薬ベンチャー公募)は出口として治験・ライセンスアウト・上場を想定するため、物質特許・用途特許・製法特許の戦略が審査上重視されます。AMED 難病・希少疾病治療グローバル研究開発支援事業、AMED LEAP、AMED 創薬基盤推進研究事業(産学官共同型)も、技術移転計画と特許出願タイミング、発明者・出願人の機関帰属、PCT出願計画などの記載を求めます。知財の発生段階から機関の産学連携部門・TLOと連携し、他社特許との抵触確認(Freedom to Operate調査)も準備しておくべきです。
治験フェーズに合わせて使える公募は?
非臨床POC〜First-in-Humanの段階では再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム(非臨床POC課題)や橋渡し研究プログラム、AMED 創薬基盤推進研究事業が活用されます。First-in-Human以降の早期探索的治験〜第I/II相では革新的医療技術研究開発推進事業(産学官共同型)や創薬ベンチャーエコシステム強化事業、難病・希少疾病グローバル支援(国際共同治験は最大30億円・50%補助)が対応します。実用化研究事業(再生医療等実用化研究事業の治験ステージ)やAMED 難治性がん克服フラッグシッププログラムも、前臨床からPhase1移行を含む枠組みとして設計されています。
ゲノム系研究で倫理審査が必要なとき、どの段取りで準備すればよいか?
ヒトゲノム・遺伝子解析を伴う研究は、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(生命・医学系指針)への準拠が必須で、所属機関の倫理審査委員会(IRB)承認に通常1〜3か月を要します。再生医療等の場合は再生医療等安全性確保法に基づく認定再生医療等委員会での審査や厚生労働大臣への提供計画提出も必要です。応募前にIRB事前相談を済ませ、インフォームド・コンセント文書、匿名加工計画、データ提供先のガバナンス体制、バイオリソース返却・破棄手順を文書化しておくと、AMED・厚労科研・上原記念・内藤記念等の審査でスケジュールの現実性を示せます。