学振特別研究員の研究奨励金は、日本学術振興会(JSPS)の令和8(2026)年度採用分募集要項によると、DC1・DC2が月額200,000〜230,000円、PD・RPDが月額362,000円(いずれも支給予定額)です。これに加えて研究費として特別研究員奨励費(科研費)に応募できます。
本記事では、まず特別研究員の月額と採択率を先に示し、続けて科研費の全種目の金額・採択率、海外での研究を支える国際事業までを、各機関の公式資料に基づいて整理します。本文の数値は記事末尾の出典一覧に対応しています。最新の公募は研究費サーチのJSPS公募一覧でも確認できます。
この記事の要点
- 研究奨励金の月額は、DC1・DC2が20〜23万円、PD・RPDが36.2万円(令和8年度採用分の支給予定額)
- 特別研究員の令和8年度採択率は、DC1が11.3%、DC2が11.9%、PDが22.9%、RPDが42.2%
- 科研費の若手研究の応募資格は「博士号取得後8年未満」で、39歳以下という年齢要件は撤廃済み
- 数値の出典は末尾の出典一覧を参照
1. 特別研究員の研究奨励金と採択率
特別研究員制度は、優れた若手研究者に研究奨励金と研究費を支給する制度で、通称「学振」として広く知られています。まず、この記事の主役である研究奨励金の月額と採用期間、直近の採択率を先に示します。
| 区分 | 主な対象 | 研究奨励金(月額) | 採用期間 | 採択率 |
|---|---|---|---|---|
| DC1 | 博士課程第1年次相当から | 20〜23万円 | 3年 | 11.3% |
| DC2 | 博士課程第2年次相当以降 | 20〜23万円 | 2年 | 11.9% |
| PD | 博士号取得後5年未満 | 36.2万円 | 3年 | 22.9% |
| RPD | 出産・育児で研究を中断した者 | 36.2万円 | 3年 | 42.2% |
出典: 研究奨励金・採用期間は日本学術振興会「特別研究員:申請資格・支給経費・採用期間」(令和8年度採用分の支給予定額)、採択率は同「採用状況」(令和8年度採用分。DC1は申請5,637名・採用634名、DC2は8,609名・1,026名、PDは1,544名・354名、RPDは161名・68名)。いずれも2026年7月3日参照。
1-1. 研究奨励金に加えて支給される研究費
研究奨励金は生活を支える給付ですが、これとは別に研究に必要な経費として特別研究員奨励費(科研費の一種目)に応募できます。金額は研究計画に応じて個別に決まり、応募区分により上限が異なります。DCの標準的な区分では、研究期間3年で総額の上限が定められています。詳細と最新の上限額は日本学術振興会の公募要領でご確認ください。
1-2. DC1・DC2・PDの応募時期の目安
DC1は博士課程進学前の時期に応募するため、修士課程在学中に準備を始めるのが一般的です。DC2は博士課程在学中に、PDは博士号取得の前後に応募します。所属機関を経由した電子申請となり、評価書の依頼や研究計画の作成に時間を要するため、募集要項が公表されたら早めに準備を始めることをおすすめします。具体的な締切は年度ごとに異なるため、公式の選考日程でご確認ください。
2. JSPSプログラムの全体像
JSPS(日本学術振興会)は文部科学省所管の独立行政法人で、学術研究の振興を目的とする日本の代表的な研究資金提供機関です。事業は大きく4つの柱に分かれます。
| 事業区分 | 内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 科学研究費助成事業(科研費) | 全分野の学術研究への競争的資金 | 大学・研究機関の研究者 |
| 特別研究員制度 | 優れた若手研究者への研究奨励金と研究費 | 博士課程学生、ポストドクター |
| 国際学術交流事業 | 二国間交流、海外派遣、外国人招へい | 全キャリアステージ |
| 研究拠点形成事業 | 国際共同研究拠点の構築(Core-to-Core Program) | 研究機関・研究グループ |
出典: 独立行政法人日本学術振興会(JSPS)公式サイト(2026年7月3日参照)。
このうち、研究者が最も頻繁に関わるのが科研費です。次章で全種目を詳しく整理します。
3. 科研費の全種目一覧と比較
科研費には研究規模や目的に応じた複数の種目があります。以下の表で主な種目の金額・期間・採択率を比較します。採択率は、種目が確定した令和6(2024)年度の新規採択率を用いています。
| 種目 | 応募総額 | 研究期間 | 採択率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
| 特別推進研究 | 2億〜5億円 | 3〜5年(最長7年) | 13.9% | 格段に優れた成果が期待される研究 |
| 基盤研究(S) | 5,000万〜2億円 | 原則5年 | 11.9% | 独創的・先駆的な研究 |
| 基盤研究(A) | 2,000万〜5,000万円 | 3〜5年 | 27.2% | 中〜大規模研究 |
| 基盤研究(B) | 500万〜2,000万円 | 3〜5年 | 28.0% | 中規模研究 |
| 基盤研究(C) | 500万円以下 | 3〜5年 | 27.5% | 小〜中規模研究 |
| 若手研究 | 500万円以下 | 2〜5年 | 40.1% | 博士号取得後8年未満の研究者 |
| 挑戦的研究(開拓) | 500万〜2,000万円 | 3〜6年 | 要確認 | 高い挑戦性を有する研究 |
| 挑戦的研究(萌芽) | 500万円以下 | 2〜3年 | 要確認 | 萌芽的な研究アイデア |
| 学術変革領域研究(A) | 1領域5,000万円〜3億円/年 | 5年 | 領域提案 | 学術の変革を目指す共同研究 |
| 学術変革領域研究(B) | 1領域5,000万円/年以下 | 3年 | 領域提案 | 挑戦的な小規模領域研究 |
| 研究活動スタート支援 | 150万円/年以下 | 1〜2年 | 要確認 | 着任直後の研究者 |
| 奨励研究 | 10万〜100万円 | 1年 | 要確認 | 教育・研究機関や企業等に所属する者 |
出典: 金額・研究期間は日本学術振興会「科学研究費助成事業」、採択率は日本学術振興会「科研費 配分状況一覧(令和6年度 新規採択分)」(PDF)の新規採択率(令和6年5月時点)。挑戦的研究・研究活動スタート支援・奨励研究は同資料の時点で交付内定前のため「要確認」としています(2026年7月3日参照)。
3-1. 基盤研究(A)(B)(C)の選び方
基盤研究の区分は主に予算規模で決まります。研究計画に必要な経費を積み上げ、それに合った種目を選びましょう。研究の質で区分が決まるわけではないため、必要な金額に見合った種目に応募することが重要です。「基盤(C)は基盤(B)より劣る」ということはありません。種目選びの詳細は科研費 基盤研究ガイドで解説しています。
3-2. 若手研究のポイント(年齢要件は撤廃済み)
若手研究の応募資格は「博士の学位取得後8年未満の研究者」です。かつての39歳以下という年齢要件は撤廃されており、博士号未取得者向けの経過措置も令和2(2020)年度公募で終了しています。産前・産後の休暇や育児休業の期間を除くと8年未満となる場合も対象に含まれます。採択率は約40%と科研費の中で高い部類です。ただし受給は2回までに制限されるため、2回受給した後は基盤研究などへの種目変更が必要です。詳しくは若手研究者向け助成金ガイドもご覧ください。
3-3. 挑戦的研究のポイント
挑戦的研究は「失敗するリスクはあるが成功すれば大きな影響がある」研究に向いています。「開拓」は本格的な挑戦(500万〜2,000万円)、「萌芽」は探索的な挑戦(500万円以下)です。独創的なアイデアを試す機会として設計されています。最新の採択率は若手研究・基盤C・挑戦的研究の使い分けガイドでも整理しています。
4. 海外特別研究員・国際事業
JSPSは海外での研究活動や国際共同研究も幅広く支援しています。主な制度を整理します。
4-1. 海外特別研究員
博士の学位取得後5年未満の研究者が、海外の研究機関で2年間研究を行う制度です。往復航空賃に加え、派遣国・地域別に年額約520万〜800万円の滞在費・研究活動費が支給されます(地域区分により日額が異なります)。
4-2. 若手研究者海外挑戦プログラム(新規募集終了)
博士課程在学中の学生が海外の研究機関で研究する制度でしたが、令和6(2024)年度第2回採用分をもって新規募集は終了しました。現在は、海外特別研究員の「採用予約」制度(学位取得の一定期間前から応募可能)に移行しています。
4-3. 二国間交流事業
日本と諸外国の研究者間の共同研究やセミナーを支援します。共同研究、セミナー、研究者交流(短期の派遣・招へい)などの形態があります。相手国の学術振興機関との覚書に基づいて実施されます。
4-4. 研究拠点形成事業(Core-to-Core Program)
世界的水準の研究拠点間ネットワークを構築する事業で、A先端拠点形成型(年間最大1,800万円、5年)とBアジア・アフリカ学術基盤形成型(年間最大800万円、3年)に分かれます。日本と相手国の拠点機関のコーディネーターを中心に研究者グループを組み、共同研究・セミナー・研究者交流を組み合わせて実施します。金額・区分の詳細は公式の募集要項でご確認ください。
5. キャリアステージ別の目安
キャリアの段階ごとに、検討しやすいプログラムの目安を整理します。応募資格の詳細は各制度の公募要領でご確認ください。
| キャリアステージ | 検討しやすいプログラム | 備考 |
|---|---|---|
| 修士課程 | 特別研究員DC1 | 博士進学予定者は早めに準備 |
| 博士課程 | 特別研究員DC2 | 研究奨励金と研究費の確保 |
| ポストドクター | 特別研究員PD、海外特別研究員 | キャリア形成の重要な時期 |
| 着任直後 | 研究活動スタート支援 | 着任後最初の研究費として |
| 若手(博士号取得後8年未満) | 若手研究、挑戦的研究(萌芽) | 若手研究は受給2回まで |
| 中堅 | 基盤研究(B)(A)、挑戦的研究(開拓) | 研究の発展・拡大期 |
| ベテラン | 基盤研究(S)、特別推進研究 | 大型研究の推進 |
| 全ステージ | 二国間交流事業、研究拠点形成事業 | 国際連携の強化 |
出典: 各制度の応募資格に基づく編集部整理。日本学術振興会(JSPS)公式サイト(2026年7月3日参照)。
6. 科研費の審査の仕組み
科研費の審査は「ピアレビュー(専門分野の近い研究者による審査)」で行われます。基盤研究などでは、次の2段階で審査されます。
6-1. 2段階審査(基盤研究等)
- 書面審査: 各審査員が研究計画調書を読み、評価点を付けます。1件を複数名の審査員が担当します
- 合議審査: 書面審査の結果をもとに、審査委員が合議で最終的な採否を決定します
6-2. 主な審査基準
- 研究課題の学術的重要性・妥当性: 研究の意義、独創性、目的の明確さ
- 研究計画・方法の妥当性: 方法論の適切さ、実現可能性
- 研究遂行能力: 研究業績、研究環境、研究体制
- 研究経費の妥当性: 必要性と金額の合理性
審査基準の詳細と書き方のコツは科研費の書き方ガイドで解説しています。
7. 令和9年度の公募スケジュール
令和8(2026)年度に公募が行われた、令和9(2027)年度科研費のスケジュールです。特別推進研究・基盤研究(S)・学術変革領域研究の締切(6月16日)は本記事の更新時点(2026年7月3日)で既に経過しています。
| 時期 | 主なできごと | 状態 |
|---|---|---|
| 2026年4月10日 | 特別推進研究・基盤研究(S)・学術変革領域研究 公募開始 | 終了 |
| 2026年6月16日 | 特別推進研究・基盤研究(S)・学術変革領域研究 締切 | 終了 |
| 2026年7月14日 | 基盤研究(A)(B)(C)・若手研究・挑戦的研究 公募開始 | 予定 |
| 2026年9月17日 | 基盤研究(A)(B)(C)・若手研究・挑戦的研究 締切 | 予定 |
| 2027年4月 | 採択課題の研究開始 | 予定 |
出典: 日本学術振興会「科研費:スケジュール」および特別推進研究・基盤研究(S)の公募通知(2026年7月3日参照)。審査結果の発表時期など詳細な日程は公式サイトでご確認ください。
主要機関を横断した年間の公募時期は年間申請スケジュールでも確認できます。
8. 応募のコツ
- 審査基準を熟読する: 種目ごとに審査のポイントが異なります。公募要領の審査基準を確認し、それに沿って記述します
- 研究の独自性を明確にする: 「何が新しいのか」「既存研究との違い」を具体的に記述します
- KAKENで先行研究を調べる: KAKENで同分野の採択課題を調べ、自分の研究の位置づけを示します
- 分かりやすい文章を心がける: 審査員は異なる専門の研究者です。専門用語を避け、図表を活用します
- 予算は具体的に積み上げる: 「何にいくら必要か」を明細で示します。漠然とした金額設定は評価を下げます
- 所属機関の締切に注意する: 公式締切より前に機関内締切があります。通常2週間程度前です
- 同僚やURAに読んでもらう: 第三者の目で読みやすさと説得力を確認してもらいます
- 不採択でも審査結果を活用する: 開示される評価(A/B/Cなど)は次回応募の改善に役立ちます
詳しい書き方は科研費の書き方ガイドで解説しています。
9. よくある質問(FAQ)
Q学振特別研究員DC1・DC2・PDの研究奨励金は月額いくらですか?
A日本学術振興会の令和8(2026)年度採用分募集要項によると、DC1・DC2は月額200,000〜230,000円(支給予定額)、PD・RPDは月額362,000円(支給予定額)です。DCは採用最終年度に、優れた研究成績を上げた者へ月額30,000円(上限12か月)の特別手当が付く場合があります。加えて研究費として特別研究員奨励費(科研費)に応募できます。
Q特別研究員(DC1・DC2・PD・RPD)の採択率はどのくらいですか?
A日本学術振興会が公表した令和8(2026)年度採用分の採択率は、DC1が11.3%(申請5,637名・採用634名)、DC2が11.9%(申請8,609名・採用1,026名)、PDが22.9%(申請1,544名・採用354名)、RPDが42.2%(申請161名・採用68名)です。年度により変動するため最新の採用状況をご確認ください。
Q特別研究員(DC1・DC2・PD)の違いは何ですか?
ADC1は博士課程第1年次相当から採用され採用期間は3年間、DC2は博士課程第2年次相当以降から採用され採用期間は2年間です。PDは博士の学位取得後5年未満のポストドクターが対象で採用期間は3年間です。研究奨励金はDC1・DC2が月額200,000〜230,000円、PDが月額362,000円(いずれも令和8年度採用分の支給予定額)です。
Q科研費の若手研究の応募資格は何歳までですか?
A科研費の若手研究の応募資格は「博士の学位取得後8年未満の研究者」です。かつての39歳以下という年齢要件は撤廃されており、博士号未取得者向けの経過措置も令和2(2020)年度公募で終了しています。産前・産後の休暇や育児休業の期間を除いて8年未満となる場合も対象です。若手研究は受給回数が2回までに制限されています。
Q科研費の採択率はどのくらいですか?
A文部科学省が公表した令和6(2024)年度の新規採択率は、全体が29.1%、基盤研究(C)が27.5%、基盤研究(B)が28.0%、基盤研究(A)が27.2%、基盤研究(S)が11.9%、特別推進研究が13.9%、若手研究が40.1%です。挑戦的研究や研究活動スタート支援は同資料の時点で未確定のため、最新の配分状況をご確認ください。
Q海外で研究したい場合のJSPSの支援制度はありますか?
A博士の学位取得後5年未満の研究者が海外の研究機関で2年間研究する海外特別研究員があります。往復航空賃と、派遣国・地域別に年額約520万〜800万円の滞在費・研究活動費が支給されます。従来の若手研究者海外挑戦プログラムは令和6(2024)年度第2回採用分で新規募集を終了し、海外特別研究員の採用予約に移行しています。ほかに二国間交流事業や研究拠点形成事業(Core-to-Core Program)があります。
Q科研費はe-Radで申請するのですか?
Aはい。科研費の応募は科研費電子申請システムおよびe-Rad(府省共通研究開発管理システム)を通じて電子申請します。所属機関でのe-Rad登録が前提となるため、申請前に研究機関の事務部門にご確認ください。e-Radの使い方はe-Rad使い方ガイドで解説しています。
Q科研費の公募スケジュールはいつですか?
A令和8(2026)年度に公募が行われた令和9(2027)年度科研費のうち、特別推進研究・基盤研究(S)・学術変革領域研究は2026年4月に公募開始し6月16日に締め切られました。基盤研究(A)(B)(C)・若手研究・挑戦的研究は2026年7月14日公募開始、9月17日締切です。最新の日程は日本学術振興会の公式サイトでご確認ください。
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出典・参考文献
- 日本学術振興会「特別研究員:申請資格・支給経費・採用期間」 https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_oubo.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「特別研究員:採用状況」 https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_saiyo.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「科学研究費助成事業」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「科研費 配分状況一覧(令和6年度 新規採択分)」(PDF) https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_27_kohyo6-1/0-1_r6.pdf(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「科研費:スケジュール」 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/02_schedule/index.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「海外特別研究員:申請資格・支給経費・採用期間」 https://www.jsps.go.jp/j-ab/ab_gaiyo2.html(2026年7月3日参照)
- 日本学術振興会「研究拠点形成事業(Core-to-Core Program)」 https://www.jsps.go.jp/j-c2c/(2026年7月3日参照)
- 府省共通研究開発管理システム(e-Rad) https://www.e-rad.go.jp/(2026年7月3日参照)
最終更新:
検証方針: 本記事の制度・数値は各機関の公式サイトを一次ソースとして確認しています。出典を確認できない情報は掲載せず、確認できない事項は「要確認」と明記します。採択率などの変動値は年度と出典を併記しています。
本記事はAI(Claude)が作成したコンテンツです。プログラムの詳細や最新の公募要件については、必ず各機関の公式サイトでご確認ください。